そもそも「動画マーケティング」ってなんでしょうか。
◯◯マーケティングという言葉はたくさんあります。 「検索エンジンマーケティング」「ソーシャルメディアマーケティング」「口コミマーケティング」「ダイレクトマーケティング」などなど… マーケティングを行う場を指しているのか、マーケティングを行うツールのことを指しているのか、あまり統一されていませんね。
しかし、あまりこだわっても仕方ありません。 ここではざっくりと「動画を使ったマーケティング」という意味で使いたいと思います。
※えっ、じゃあページに埋め込んでいるアニメーション的動画は?と思われる方もいるかもしれませんが、それはアニメーション画像の延長で捉えたほうが”分かりやすい”かなと思います。
動画マーケティングの位置づけ
動画マーケティングというと何やら難しそうですが、言ってしまえば「動画を使ってマーケティングをしようよ」ということに過ぎません。 動画をどう位置づけるかというと、動画そのモハ「WEBコンテンツの一形態」として捉えるのが適切です。 なぜなら、YouTube などの動画共有サービスを使って公開されたものもあれば、自社サイトにおいてある物もありますが、基本的にはWEB上に置かれて、他のWEBコンテンツと一緒に見られるものだからです。 今まではテキスト+画像の組み合わせが中心でしたが、そこに「動画」も使えるようになった。 そういうイメージです。
肩肘張る必要はない
つまりただのコンテンツです。肩肘張る必要はありません。
例えば、営業マンがお客さんとの商談で使っているセールストークを動画にしてそのままWEB サイトにアップしてそれをメールで告知するだけで、立派な動画マーケティングです。
だって、動画を使っているのですから。(※実際これ、簡単で結構効果がありますよ)
動画マーケティング事例を鵜呑みにすると…
はじめて何かを行うときに参考にするのが「事例」ですよね。 私も、Webコンサルタントという職業柄マーケティングに関するニュースやブログ記事を毎日見ています。「動画マーケティング」で検索すれば色々と情報は出てきます。 しかし、YouTube への動画のアップロード方法の解説で終わってしまっていたり、「特徴的なやり方で、若者を中心に口コミが一気に◯◯」「動画なら質感が伝わり、想定売り上げが◯◯」といった、漠然とした事例を伝えるだけで終わってしまっているものが少なくありません。 更にうーん、と頭を抱えてしまうのは
動画マーケティングで使われる事例が、大企業のものか、ないし海外での特殊な事例・スマッシュヒット事例ばかり
なことです。 事例が無いだけならまだいいのですが、数少ない事例がどれも大企業が色々なところの力を借りて実現した物ばかりなのです。 そしてこれを一般の大企業以外の会社が真似してしまうと、 ほぼ確実に痛い目に遭ってしまいます。
大手の事例を実現するには膨大なリソースが必要
例えば以下は、事例としてよくあげられるうちの一部です。もっともっとありますよねきっと。
- ロッテのFit’sダンスコンテスト
- バラク=オバマ大統領の選挙戦
- ダイエットコークにメントスを入れたら…(詳しくは検索してみてください)
どれも、動画マーケティングの成功事例として、折に触れて紹介されています。 しかし、検索して実際のプロモーションを見てみて下さい。これは大企業以外が真似できるものではありません。 似たようなものは他にも多くありますが、基本的には
「大企業がプロジェクトチームを立ち上げて、制作会社とともに、少なくない広告宣伝費をかけて大々的に行う」
ものです。
ユーザ発信に見えてそうじゃない、仕込みがある、暗黙のオーソリティがある
いやいや、メントスコーラなんかは企業が仕掛けた物ではなく、ユーザ発信の現象では?と思われるかもしれません。 しかし、これが見知らぬ飲み物と、めったに売っていないお菓子の組み合わせだったら同じようにブレイクしていたでしょうか? 大企業が売っている商品だからこそ、どこでも手に入り、安心してブームに乗ることができた、その側面があることは否めません。 「メントスガイザー」という名前が公式につけられなければ、ここまでのブームになったでしょうか。だって、ブームになる前からあの現象は小規模に流行っていたのです。
大企業の事例は中小企業は参考にしない方がいい
繰り返しになりますが、大企業のようにたくさんの資金と人員を投入できるのでない限り、大手の事例は参考になりませんし、してはいけません。
※これはTwitter でもFacebook でも同じです。
「大企業でブランディング目的なら、こういう成功事例があるよ」という紹介の仕方なら良いのですが、大概そこはすっ飛ばされて、勝利の方程式のように扱われてしまっています。 ゴールは人それぞれ会社それぞれです。 ですので、先ほどのような例が、あたかも万人が目指すべき動画マーケティングの成功事例のように扱われているとしたら、とても問題だと私は思っています。
じゃあ、参考になる事例はあるの?
結論から言えば、動画マーケティングは黎明期なのであまり事例を探しても意味が無いと思います。 まだケースバイケース、勝ちパターンがない状態です。
※強いて紹介するならば、企業名は伏せますがYouTubeで「中古車」なんかでちょっと調べてみて下さい。 うまくやっているところがあります。他にもいろいろ検索すると出てきますよ。
従いまして、動画の使い方をこの本できちんと押さえてもらった上で、なにはともあれ、ひとまずやってみることをお勧めします。 この本の後半で、動画を作成して公開しPDCA を回すところまで書いていますので、ぜひ最後まで読み進めて次の日からスタートしてみてください。
- 低コストで(ビデオカメラと編集ソフト、もしかしたら新しいパソコン)
- 時間と人手をかけず
- 既存のWEBマーケティングと馴染む(シナジー効果も)
そんなやり方をお伝えしていきますので。ぜひ最後まで一気に御覧ください。
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- 前のページ:はじめに:目次
- このページ:第1回:そもそも動画マーケティングとは?
- 次のページ:第2回:こんな言葉には要注意
コンテンツ一覧
- スタートアップブック:目次
- 第1回:そもそも動画マーケティングとは?
- 第2回「こんな言葉には要注意」
- 第3回「動画の力は検索エンジンの中で発揮される」
- 第4回:事例「家庭用プラネタリウムを買いたい人」
- 第5回:本当はみんな見て触って確認したい
- 第6回:効果のある動画を作る4ステップとは?
- 第8回:効果のある動画を作る4ステップ(ステップ2)
- 第9回:効果のある動画を作る4ステップ(ステップ3)
- 第10回:効果のある動画を作る4ステップ(ステップ4)
- 第11回:仮想事例1:工務店が動画を活用するには(前半)
- 第12回:仮想事例1:工務店が動画を活用するには(後半)
- 第13回:仮想事例2「WEBにあまり力を入れて来なかった場合」
- 第14回:副産物・そして全体のまとめ
- 第15回:おわりに