2017年版ものづくり白書から見える、中小製造業の厳しい状況

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2017年の4月に、中小企業白書と小規模企業白書が経済産業省から公表されました。私もブログの記事やPodcastで何度か触れました。

業種を問わない内容なので、ご覧になった方も多いかと思います。まだ見ていないという方は是非概要だけでもみることをお勧めします。

なぜなら、日本の企業全体がどのような状況にあるかは、自社の戦略を考えるでもとても重要な要素だからです。

→ 中小企業白書2017年版は(中小企業庁)
→ 小規模企業白書2017年版(中小企業庁)

製造業向けの白書「ものづくり白書」が公開されました

それとは別に6月に、「ものづくり白書」が公開されました。

2017年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2017/index.html

正確には製造基盤白書という名前で、中小企業白書等と同様に、毎年発行されています。この出たばかりの「ものづくり白書」。現在の製造業が抱えている様々な問題についてまとめられています。

内容は、企業のウェブ活用を支援する人間としては、押さえたい内容です。そこで今回は簡単に2017年版ものづくり白書のポイントを見ていきます。

※ちなみにエネルギー白書・通商白書というものもあります。エネルギー白書は電力や原子力などエネルギーに関しての内容。例えば最新のものでは、福島復興進捗などが最初のトピックスです。通商白書は世界経済の中で日本がどのような状態にあるかがまとめられています。こちらも興味深いです。

概要だけでも72ページ

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ものづくり白書も概要がありますので、まずそちらを見ることをお勧めします。

内容とはいってもパワーポイントサイズで72ページあります。ちなみに本文は300ページ近くあります。日本における製造業の重要性が分かります。

大きなポイントとしては2つです。

1つは人材が足りないもう一つは付加価値をなかなかつけられない。こうしてみると製造業だからといって何か特別なことがあるわけではなく、一般の中小企業小規模事業者が苦労していることと方向性としては同じです。

ではもう少し具体的に見ていきます。

人材採用に工数をとられて、人材の育成までに手が回らない企業が多い

先行きは明るいと考えている企業が比較的多いようです。しかしその中で利益を出すために必要な、現場力の維持向上。そのための技能人材の確保が課題のようです。

※右図は白書からの引用です。

技能人材とはつまり現場で動いている人材のことですね。

これがほかの事業と同様に足りていない。これは少子高齢化で働き手がどんどん減っている現在、業界内だけではなく日本社会全体として労働力の取り合いが起こっているため、致し方ない部分です。

ここに文句を言っても仕方ないので、ロボットやIoT、IT導入や仕組みづくりによって、生産性を上げていく、より少ない人数で同じ業務を回せるようにしていくことが正統派の解決手段が必要です。

しかしこのようなストレートな対処が特に中小企業にとっては難しい…ということが白書には書かれています。何故なら、そもそも人材をとるのが難しいから。

人材が売り手市場になり過ぎれば、雇う側と雇われる側の力関係が大きく変わります。

教育研修の部分でうまくいかないことが増えたり、あるいは、自社の理念や風土に合わないような人材を使わざるを得ないような事態が発生します。

本来、企業にとっては、人材採用はただのスタートライン。いかに短期間で、第一線で活躍してくれる人材に育てていけるかが重要課題であり、企業の競争力の源泉となりますす。人材を速攻で育てられる企業は強いですよね。

しかし現状では採用するのに手一杯なのでそこまで手が回らず、結果として生産性や付加価値を積み増していくことができていません。

これは外部の力を借りないと改革は難しいですが、このままだとじり貧ですから、経営者としては早期に手を打たなければなりませんね。

「刃を研ぐ」ための人材にまで気が回らない

また、以下の部分も気になります。

ものづくり産業の成長に求められる人材像をみると、中小企業は、大企業と比べて、「熟練技能者」を求める優先順位は高くなっている一方で、「生産技術職」を求める優先順位は低くなっている。今後、技術革新が激しくなる中で、中小企業においても、生産技術職の確保、育成が課題になってくる。(P35)

フランクリンの7つの習慣で言えば「刃を研ぐ」ことに気が回っていないと言うことだからです。

生産技術職というのは、会社の生産性を分けるための様々な仕事をする人間です。

彼らが行うのは、例えば新しい生産技術の開発を行ったり、現場の生産体制の課題発見を行ったり、生産現場のヒアリングを行って改善活動を行ったりと今の製造業に非常に必要な業務です。

しかし中小企業では生産技術部ではなく現場の熟練技能者へのニーズが高い。これはつまり目の前の課題をひとまず人間を増やすことで解決しようと考えていることを表しています。

しかし目の前の状況とひとまず回避できたとしても、これからどんどん加速する人材不足の波や外部の経済の変化に付いていけるかというと難しい。行うべきは根っこの部分の効率化です。

HPで言えばコンバージョンレートの低いLPに、とにかくアクセスを流し込んで成約をとっているような状態でしょうか。

Web/ITやIoTなどを使ってより少ない人数で会社を回せるようにしなければならないのです。そのためには本来は生産技術職への優先度が高くなるべきですよね。

様々な理由があると思いますが中小企業がこれから生き残っていくには、そこを解決することが必要です。

付加価値が増えないことも、収益率が低いことも同じ理由

ものづくり白書の中で、もう一つ問題とされている「付加価値の低さ」や「収益率の低さ」も同じ根っこから発生している問題です。

現場の改革や商品の開発仕組みづくりなどをする人がいないために、新たなマーケットを開拓して利益を上げて行くことができなくなっていると考えられます。

使える技術はあるが、現場に落とし込む所を支援する企業がもっと必要

とは言え、大変な状況にある中小企業を責めるのは酷です。

使えば生産性向上や付加価値向上につながるITやIoTを初めとしたサービスはあるでしょう。とは言えそれを自分たちで選定して導入し、会社の中に根付かせていくというのは非常に難しい。

「生産プロセスなどのデータの収集・活用の状況」というデータも白書の抜粋版にありますが(P10)、どこも「データを取っていない」か「データは取っていても、活用できていない」のです。具体的なモノに落とし込めないのです。

であればむしろ私たちウェブの世界の企業や、IT・IoT企業が、困っている製造業を助けるソリューションやサービスを、現実的に導入できるような価格帯・形態で提供していかなければと考えます。

私も製造業に関してはウェブの立場から何社も関わっていますが、どこも誰に何を頼むべきか自分たちが何をするべきか不安な中、日々の業務を必死で行っています。

日本にとって製造業は非常に非常に重要な産業です。

私も製造業を応援できるようにしていかなければと、この白書を読んで改めて感じた次第です。

まずは時間捻出ですから、マーケティングとセールスの工数削減と、受注安定によって、雇用と待遇を改善しつつ、次の投資ができるような体制作りですね。

その後は、設備に費用をかけるか、より売上を上げるために、ブランディングと組織の部分への手入れ、そして商品開発等に進むかです。

B2Bメインだと、なかなか差別化が難しいので、いかに独自の商品を作っていくか、それもできるだけ周りに気づかれないうちにシェアを広げるかが重要です。リアルでクロージングできる武器となる資料なども必要でしょう。

それに限らず様々な示唆が、ものづくり白書から読み取れます。ぜひ皆さんも1度、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

2017年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2017/index.html

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