ラウンドナップ・コンサルティング公式ブログ 代表中山陽平が記事執筆。コンサルのノウハウ進化のための情報収集の一部を発信中。2004年〜開始。

【書評】「嫌消費」世代の研究 ~経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち~

「嫌消費」世代の研究 ~経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち~

JMR生活総合研究所の代表取締役社長「松田久一」氏による、現代の低消費性向に関して、世代論から切り込んだ書籍です。

マーケティングに携わる方に特にお勧めです。

 ▼M NEXT:松田久一氏プロフィール
   http://www.jmrlsi.co.jp/menu/mnext/profile.htm

私自身この書籍で書かれている「バブル後世代(⊆嫌消費世代)」の一員なのでして、素朴な感想を一言で言えば「そう言われると、確かにそうだ…」です。

いわゆる気づきのようなものがたくさんありました。

  • ターゲットが20代~30代
  • ターゲットの気持ちが上手くつかめない、ペルソナを描いてみるものの、うまく魂が入らない

とお悩みの方には、特にいいのではないかと思いました。
いくつか、気になった点をピックアップします。

「嫌消費世代」は、他の世代と比べて「口コミや評判を参考にして選ぶ」傾向が強い

「口コミ」の影響力が強くなったことを、私は別の切り口で解釈していました。ただ、こういう要因も確かにあると思い、はっとしました。

「WEB サイトと言う販売チャンネルの普及により、サービスの選択肢が増え、判断が難しくなったた、判断にかかるコストが高くなっため、手っ取り早い手段として、実際に使った人の意見を聞きたくなった。」

というのが、私の解釈でした。

もちろん、昔から、怪しい開運グッズの広告やダイエットの広告には必ず体験者の声が載っていることから、それが間違っているというわけではないと思います。人間のベースにある思考回路で、全世代に通じているものです。

ただ、著者によると、バブル後世代、奇しくもインターネットが生活に食い込み始めた世代については、その特有のマインドによって拍車がかけられている、と。

そしてそのマインドとは、「劣等感」に裏打ちされた「上昇志向」「他者志向」「競争志向」

他の人が良いといって使っているものを自分も使わないと、変な目で見られる。評判が悪いものを、自分としては好みだからと言って使っていると、バカにされる。

そう思う心性が口コミや評判の威力を上げていると、著者は論じています。

ちなみに、ここまで書いて、他の世代はそうじゃないのか!と驚いている自分がいます。

革新的なサービスを売るのが大変な時代に入る

そういったことを考えますと、これからは革新的なサービスを売るのは、広く言えば新商品を売るのはどんどん難しい時代になっていくのではと思います。

言い換えると、キャズムはどんどん深く広くなっていくのではと思います。アーリーアダプターが肩身の狭い時代になっていく。

ただし、いったんアーリーマジョリティまで行ってしまえば、その成長曲線はおそらく今までより大きな角度になるのでは。

なぜなら、恐らく「周りの目を恐れて隠れていたアーリーアダプター」が、時代がマジョリティに入ったときに一気に花ひらくのではと思うからです。iPhoneの急速な普及は、まさにその印象が。

セグメンテーションの軸に「世代」が必須になる

私は、顧客と話す中で、今まであまりデモグラの中で「世代」というのは入れていませんでした。

ターゲットのペルソナを共有するための具体化の方法の一つとして、年代を聞いたりはしていましたが、それはあくまでその意図で行っていただけでした。

ですが、著者の世代論を読んでいると、かなり世代間で消費マインドに違いがあると感じます。

なので、これはきちんとセグメンテーションの一つとして考えないといけないと感じました。(しかし、セグメントはどんどん細かくなっていきますね…)

ソーシャルなものが注目されているのはただの流行りじゃない

今、 SMOという言葉が誕生するばど、ソーシャルなものがマーケティング戦術として注目されています。

これも、著者の意見を考えると、ただの技術的な流行ではなくて、今後の主要消費層となっていくバブル後世代に対して、適切なアプローチなのだなと思います。

今までのような、ブロードキャスティング的な認知のさせ方と需要喚起策では心に刺さらない。

他者志向」に寄り添ったソーシャル的なアプローチで、狙ったセグメントの中で、いかにその中の消費者主導で盛り上がってきた、というような見せ方をさせていくかがキモなのでは、と思いました。

そうすると、キーマンの発掘と創造がカギです。

最近TVに微妙なレベルの有名人(雑誌モデルやカリスマ主婦、○○の世界で圧倒的に有名な…など)が増えているのは、そういった狭いセグメントでのキーマンの影響力を、適度にフォローしてあげて、需要喚起しようと思っているのでは(全くの仮説です)

また、 Twitter利用者の間でも、Twitterを使う理由に差があるのではないかな、と思います。
うまく表現できないのですが、はてなブックマークを「ソーシャルフィルタリング」として使うか「みんなが注目しているものを押さえるために使うか」の差、といったらうまく伝わるでしょうか。

しかし、自分のことはよく分からない

余談になりますが。

私は歴史学科だったのですが、よく「天安門事件を経験した世代は…」「一度でもローマに征服された時代は…」という話は良く論文の中にあります。

それは、すらっと「そうだよね」と受け入れられます。

ただ、自分の国、しかも自分の世代だと「いや、それってそこまで違うものなのかな、普通そんなものじゃないかな」と思ってしまいます。

しかし、この『「嫌消費」世代の研究』は徹底的に統計などのデータを駆使して論証を行っています。データを見ると確かにそうです。

やはり自分のことはよく分からないものなのだなと天を仰いだ次第です。

それはともかく、マーケティングに携わる人はぜひ読む価値アリです。

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