士業コンサルタント向けコンテンツマーケティング戦略コンテンツ戦略において、自分から相手にとって有益な情報を出していくことは基本です。

なので、有益なコンテンツをたくさん作りましょうということになります。 お客さんが知りたい情報の入ったコンテンツを。

しかし、その際に悩ましい業種があります。 それが「プロフェッショナルサービス系」具体的に言えば「弁護士、税理士、司法書士、行政書士などの書士業」「各種コンサルタント」の方々。

商品がノウハウと深く関わっているので、ノウハウを出すことで逆に、実際のサービスが不要になってしまうのではないか?という不安をお持ちのようです。 カニバリズムを起こしてしまうのではないか、ということですね。

しかし、結論から言ってしまえば、

むしろプロフェッショナル職こそが、他の業種以上にコンテンツ活用を積極的にやるべき

です。 そこで今回は、ContentsMarketingInstituteの記事を題材にしながら「プロフェッショナル職むけコンテンツ戦略」について書いていこうと思います。

#目次

1.よく聞く「6つの不安」

Content Marketing Iustituteに「Content Marketing for Professional and Consulting Services」という記事がありました。 その中で、プロフェッショナルサービスの方が抱えている不安6項目というものがあります。 具体的には

  1. お客さんはネットなんか見ていない(My clients don’t consume online content)
  2. 時間がない(We don’t have time to create content)
  3. SNSで活動していれば、コンテンツはいらない(We can just do social media, we don’t need content)
  4. ブログだけやっていればいいのでは(We can just do a blog)
  5. 書いてしまったら、秘密がなくなる(We’ll give away all our secret sauce)
  6. 価格のことは書きたくない(We shouldn’t talk about price in our content:)

といった項目。 それぞれについて、そうじゃないんだよと元記事の方で書いてありますが、とは言え私自身100件以上、サムライ業さん、コンサルタントの方へWEBマーケティングのアドバイスやコンサルティングをしてきました。 なので、そちらの経験を主として、この疑問について、どう対応すべきかを書いていきたいと思います。

2.お客さんはネットなんか見ていない? (My clients don’t consume online content)

A paid consultant will say that they target CEOs, who don’t use search engines or social media. (コンサルタントは”経営者をターゲットにしている、経営者は検索エンジンやソーシャルメディアなんてみていないよ”)

この不安・疑問に対して元記事では「そうじゃない」というデータを挙げています。米国のものですが日本でも”傾向としては”同じではないかと思います。 そのデータとは以下のものです

  • Googleの調査によると買い手が意思決定するまでにオンラインで見るソース数は、平均して「2010年で5.27件、2011年には10.4件」
  • Doremus and the Financial Timesの調査によると「上級役員の60%がブログやオンラインビデオなどを見ている」

それぞれの調査結果について、深堀りします。

2.1.Googleの調査結果について

Googleの調査の方は、ZMOT(Zero Moment Of Truth)のものです。 ZMOTについてはとても大切な概念なので、ぜひ押さえて置いてていただきたいですが、概要としては以下です。

today’s tech-savvy consumer has often made up their mind before stepping in-store. Google coined this ZMOT, or the “zero moment of truth.” (テクノロジーに詳しくなった現代の消費者は、しばしば実際に店舗に訪れる前に自分の意思決定を行っている。GoogleはそれをZMOT、Zero Moment of Truthと呼んでいる)

これは主に小売を中心としたデータで、プロフェッショナルサービスに限ったものではありません。 ですが消費者マインドの傾向として

オンラインでさまざまなソースにあたってから、リアルの世界にたどり着く流れがある

ということは言えるかと思います。 そしてそれが「2010年で5.27件、2011年には10.4件」に急増しているということです。 したがって”社会全体の傾向として、オンライン上での情報収集が活発になっている”ということは、押さえるべきです。

2.2.Finaicial Timesの調査

これは、経営者、役員層を対象にした調査なので、かなり興味深いですね。(記事はこちらです

Most surveyed execs still read business and trade information in printed formats, but they also use digital channels—such as online video, professional networking sites, and blogs—for work. (今までのほとんどの調査はまだ、ビジネスや取引関連の情報は印刷された媒体で読まれていると言われていたが、今はデジタルチャンネル、オンラインビデオやプロフェッショナルネットワークサイト、ブログ、などを趣味ではなく業務でチェックしている)

今までの紙媒体からの情報収集が急速に減っているわけではありませんが、紙媒体+デジタルというMixがかなり増えてきています。

(出展は先程の記事)

新聞に関して言えば、紙媒体だけで読む人は51%になっています。半分しかいません。 これをそのまま鵜呑みにするのは危険です。 ただ、「経営者層であっても今はブログやSNSをかなりの割合で見ている、そしてその傾向はどんどん強まる」と考えるべきです。

2.3.経営者層が仮にそうだとしても、部下はどうか

また、仮に経営者層が忙しくてネットなんか見ていないよということであったとしても、部下はどうでしょうか。 経営者層に頼まれて業務の委託先や顧問先を探している時に、部下は何を使って情報収集をするでしょうか。 恐らく、オンラインの媒体が多いのです。 経営者層に提出される書類の中に入り込むには、まずはそこに提案をする人物の中に入り込まないといけません。 そう考えると、オンラインの媒体はもっともっと重要だということを感じていただけるのではないかと思います。

3.時間がない(We don’t have time to create content)?

For example, Jay shared his statistics on just one post on social media strategy he created almost three years ago. The post still attracts an average of 300 people per day (例えばJay Shared氏が作ったコンテンツは、三年前のものだが未だに毎日300人のアクセスがある)

これは、コンテンツに対する見方が食い違っており、コンテンツが「作成に時間を割く価値がない」と思われていることが原因です。

3.1.コンテンツは一時的な「広告」ではない「資産」である

確かに、コンテンツを「広告」として短期的にみると、費用対効果が悪いものとして見えてしまいます。 それは一般的な広告と違って効果が極めて緩やかだからです。 しかし、コンテンツはそうではなく「資産」として見ないといけません。引用した例にもあるように過去作成したコンテンツがずっとお客さんを連れてきてくれるということがあるからです。中長期的な視点で見ることが大事です。

3.2.オンラインコンテンツは寿命が極めて長い

ホームページなどのコンテンツは実はある1点でとても特殊な存在です。それは寿命が半永久的だという点です。 寿命、例えば新聞広告ならその寿命はせいぜい1日、雑誌なら1週間あればいい方。その後は全く効果を発揮しません。DMなんて数秒の可能性もあります。しかしホームページは、半永久的に人を連れてきてくれる可能性があります。言い換えると「過去の自分が今の自分を応援してくれる」んです。 そしてそれを積み上げていくことで、将来の自分がどんどんと楽になる。

3.3.資産構築として考えると?

つまりこれは、コンテンツという資産の構築として考えるべきです。コンテンツを集客営業マンと考えると、人材資産と考えるべきです。 もちろん、コンテンツマーケティングのノウハウに基づいて、受け入れられるコンテンツを作るという前提はあります。 ですが、改めてうかがいますが、コンテンツを営業資産形成の一環としてみた時に、本当に時間を割く価値がないと思われるでしょうか。 私は、時間とリソースを割いてでもきちんと作っていくべきです。

4.SNSで活動していれば、コンテンツはいらない? (We can just do social media, we don’t need content)

Frankly, if you want to be shared and talked about in social media, you need some amazing content to make your social media go. As Jay says, “Content is fire. Social media is gasoline.“ (フランクに言うと、もしあなたがソーシャルメディアで人々と話したかったら、ソーシャルメディア向けコンテンツを作らないといけない。「コンテンツは火で、ソーシャルメディアはガソリン」なんだ)

4.1.「活用」を既存客と紹介に限るなら、必要ないかもしれない

これは、ソーシャルメディアを「活用」するというハードルをどこに置くかですが、既存のお客さんと対話するだけならコンテンツはさほど必要ではないかもしれません。関係性をキープするためにソーシャル以外の手段があるはずだからです。 また、昔の知り合いを探して、お客さんを紹介してもらうという場合だけ考えると、発言に注力して人間性を出していけばある程度、取れていくと思います。

4.2.新規顧客開拓なら必須

しかし、1から見込み客を探し、新規顧客にするため見込み客フォローしていくということを考えると、やはりホームページとコンテンツは必要です。 なぜなら、ソーシャルメディアのみで、紹介でも何でもない新規客を探すのは現実的に非常に困難だからです。 なぜかというと

  • お客さんは、まず検索したり名刺を見たりしてホームページに来る
  • ホームページからSNSを見つけて、つながっていくという流れ

であり、

  • ソーシャルメディアで検索をして、良い人を見つけるという人は少ない(これは経験論ですが)
  • ソーシャルメディアで誰かを見つけたとしても、必ずといっていいほど、基本情報やプロフィールページから、ホームページを探す。ホームページがないと、信頼できないと感じる

といったことがあるからです。 あまり気持ちのいい例えでは無いかもしれませんが、プロフェッショナル職の方は、ご自身が棚に陳列されているイメージを持って下さい。自分そのものが商品だからです。 その上で、一般的な購買フローと並べてみるとこのようになります。 士業コンサル職の買い手側から見たマインドフロー この時、比較検討の段階で浮かぶ様々な疑問は、ソーシャルメディアだけで完結させるのは相当困難です。それはFacebookページを使っても同じです。 ホームページに誘導してそこで回遊してもらったほうが、はるかに効率がよいです。そしてSEOを効かせて検索エンジンから無料で集客するなら、ホームページが無いとどうしようもありません。

4.3.SNSは人間性をアピールして信頼感を得る場所

ソーシャルメディアをどう使うかというと、人間性や信頼感といった、言葉では表せないものを表現する場として使うことをお勧めします。 どうしてもホームページ上のコンテンツでは、そういった生々しい物は表現できません。 なので、ソーシャルメディアでの投稿などを見てもらって、あるいは直接対話することで、まるで実際に気軽に会っているかのような体験をしてもらう。 そしてその上でサービス内容や料金などを踏まえて契約まで持っていく、これがプロフェッショナルサービス系の方の基本的なフローです。

5.書いてしまったら、秘密がなくなる? (We’ll give away all our secret sauce)

Yes, you may give away your secrets, but having a grocery list doesn’t make you a chef. ( そうだね、あなたは秘密のいくつかを失ってしまうかもしれない、だけれども、食材のリストを見せているだけで、シェフとして認められると思うのかい?)

これは非常に悩ましい問題だと言えます。 なぜならバランス感覚がモノを言うからです。書士業の方もそうかもしれませんが、コンサル職の方は、これは書けないという内容もあるはずです。 オススメの考え方としては 「総論としてはこれこれこうです、各論はご相談下さい」 という流れです。

5.1.お客さんが求めているのは、自分にあったアドバイス

一般的に、プロフェッショナル系のサービスは個別のお客さんに対して、お客さんごとにあったアドバイスをその場でできることが、非常に重要なスキルかつアピールポイントになります。 また、お客さんの方も、一般的には分かっているけれど今のうちの状況だとどうなの?ということを知りたがっています。

5.2.オススメのコンテンツ戦略

なので、ホームページのコンテンツとしては

  1. 一般的にはこれこれこうで、こういうものですよね
  2. うちはこういうスキルや強みがあるので、こんな感じでうまくやることができるんです
  3. なぜそんな事ができるかというと、これこれこういうことがあるからなんです(総論として)
  4. それに、こんなこと知っていますか?御社の状況にもよりますが、おすすめですよ
  5. 例えばこんな方にはこんな風な声を頂いています、うまくいきました
  6. みなさんの個別の状況に合わせてアドバイスしますので、お問い合わせくださいね(各論へ誘導)

といった流れがオススメです。 この項目、一番最後以外は全てコンテンツ戦略に使えるコンテンツとなり得ます。 特に、3番4番5番が大事です

  • 2番は、必要ですが「必要だが追加更新しない」コンテンツなので、端的には「あればいい」です。
  • 3.4.5番は、「必要か追加更新できる」コンテンツなので、この部分を積極的に増やしていくべきです。

そしてこの3つは、あくまで総論なので、これが漏れてもそれほどバックエンドのコンサルに影響しません。 なぜなら、繰り返しになりますが、お客さんの知りたいのは自分の状況にあった「個別具体論」だからです。

5.3.総論でなるほどと思わせられれば、お客さんをぐっと引きつけられる

総論で「なるほどー」と言わせれば、誰だって個別具体論を聞きたくなります。 これがコンテンツの力ですね。オーソリティとスキルを嫌味なく伝えられます。

  1. ホームページにやってきた人が、コンテンツを読んで「あぁこの事務所すごいな」と思ってくれる
  2. 他も見たけれども、ただのサービス案内しか載ってないので実力の程が良くわからない
  3. (1)で見たサイトはSNSもやっていて、どうやら良い人そうだ
  4. ここにしようかな

こういう流れを実現できれば、成約率はぐんと上がります。「総論と各論」の関係を作って頂くことをおすすめします。

※もちろん、そもそも集客はしないといけないのですが、そこは改めて。

6.価格のことは書きたくない (We shouldn’t talk about price in our content:)

これは、書かないといけません。値札がついていない商品を買うのに躊躇するのと同じです。 もちろん、状況によって変動があると思います。 ただ、その場合、おおざっぱに「15万円〜」と乗せたり、こういうパターンはいくらいくらでした、という例を載せておくことはできるはず。 問い合わせをする時に、値段を聞くのって嫌です。でも、すごく気になりますよね。 お客さんも同じです。理想的には、分かりやすい費用になるように商品設計をすることです。パック化ですとか。

終わりに

頭がしゃべる通りに書いていったら、長くなってしまいました。 プロフェッショナル職については、とは言え職種によって状況がさまざまに変わってきます。例えば業務範囲がある程度決まっている税理の方と、そうではない、コンサルタントの方では、やはり細かい部分が変わってきます。 上記のことを踏まえつつ、お客さんが考えることを想像してアレンジしていくことが大事ですね。 

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