小さい会社のウェブに関わるなら、小規模企業白書は必読

2016年版 小規模企業白書 ~継続と挑戦!~

だいぶ追いかけるのが遅くなりましたが、2016年版小規模企業白書が今年の4月に出ています。

政府刊行物センターから書籍としても買えますが、中小企業庁のHPから無料で全て見ることができます。2,916円の価値は十分あると思いますが、今すぐ見たいという方は、HPご覧頂ければと思います。

中小企業庁:小規模企業白書
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/syoukiboindex.html

Webに携わる方こそ、こういった企業まるごとの姿を知って頂く方がいいと思います。Webマーケティングといっても、実際はマーケティングの一分野にしか過ぎません。

まずは実態についてきちんと捉えることが、Webありきではない提案に繫がっていきます。ローカルビジネスの場合、チラシや店頭などリアルでの活動とWebのシナジーが重要ですから、なおさら丸ごと知っておく必要があるのではないでしょうか。

全体を読むと長いので、気になった部分を引用していきたいと思います。

※特段指定無き場合、白書からの引用です

中小企業のほとんどは小規模事業者に分類される

まず概要の以下の表をご覧下さい。これは中小企業基本法の中で、中小企業の定義と小規模事業者の定義、そしてその実数を示した物です。資料自体は平成26年の数字なので2016年の数字ではありません。

なんとなく「大企業」「中小企業」といっていますが、こんな風に定義されています。

中小企業基本法の定義と企業数、従業者数

従業員と資本金で基本的に決まります。売上ではないですし上場の有無も無関係です。また、小規模事業者はさらに従業員の少ないところがそれにあたります。

個人事業主も含みます。フリーランスの方も入るということですね。

人数内訳

という前提で、それぞれの内訳ですが右の表がそれです。

日本のほとんどが中小企業に分類されますが、企業数でみれば、さらにその中小企業の中の9割近くが小規模事業者です。

日本のほとんどが小規模事業者といっても良いですね。

こういった数字は、大きなイメージ作りにおいて重要なので、押さえて頂くと良いですね。頭の中にいかに正確に現実のイメージを持てるかは、発想の現実性や実現可能性に直結します。

景況感はまだまだ低い状態、特に小規模になるほど

つづいて、業況判断DI(Diffusion Index)を見てみますと、まだまだ低い状態で業況が好転したと思える企業は増えていません。特に小規模事業者は中規模事業者に向けて、よりその傾向が強いです。

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マーケティングの支援をしていると、どうしても「相対的に自分たちが価値を与えられているか?」という所にのみ目を向けがちで、そもそもそのお客さんの会社の業績はどうなっているんだという絶対値のことを忘れがちです。

例え自分たちが改善できていたとしても、それが全体の売上のコンマ数パーセントにしか影響を与えていないとしたら、もっと根本的に変えるために、なにか中長期的にサポートできることはないだろうか、と考える必要があります。

また、自分たちの成果により大きく業績が好転しているのであれば、もっとお客さんに対してそれを元に提案をしていったほうが、お客さんも喜んでくれます。

ちなみに、業種別の業況判断DIを見ると、建設や製造業はそこまで悪くありませんが、小売りやサービスがかなり厳しい状態を強いられています。

小規模事業者の業況判断DI

経常利益率も低いケースが多いので、なかなかマーケティングに予算がかけられない企業も多いので、いかに全社的に協力してもらい、頑張ってもらえるかが鍵になりますね。

求める人が足りない

人材についてもデータがあります。これは中規模事業者が特にそうですが、ここ毎年どんどん悪化しています。つまり人が足りないのです。

人が足りないというのは「企業が求めるような」人が足りないという意味ですので、単純にこのグラフから色々なコメントをするのは難しいです。

しかし現場でのオペレーションは厳しい状態になっていることは確実です。また、人事採用にかけるコストがふくれていることも確かでしょう。企業は従業員がいなければ動かないからです。

中規模・小規模事業者の従業員数過不足DI の推移

従いまして、例えばホームページには会社概要と同じレベルで「求人情報」を必須ページにしても良いように思います。掲載費用もかからないですし。

また、求人ページを作るプロセスは、自社を見つめ直すプロセスでもあります。(そもそもHPのリニューアルはそうあるべきですが)

なので、単純に求人表を貼り付けるだけではなく、来てもらうため、ミスマッチを防ぐためにどんな情報を載せるべきかを一緒に考えると、とてもプラスになります。それだけで1つのワークショップができるほどの内容だと、個人的には思っています(これでワークショップ開催したくなってきました)。

自営業の最大の廃業要因は「病気・高齢」

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2012年から2014年の間の小規模事業者数は、約9.1万者の減少です。

これは開業・廃業・小規模事業者から中規模事業者への移動、またはその逆などさまざまな要因をまとめた数字です。

大きく減少しているのは個人事業主、それも「小売」「製造」「建設」などです。

いわゆる、個人商店・物作り系商売・職人さんなどが多いでしょうか。ちなみにソフトウェアやアプリケーション開発も製造業に入ると思います。

こういった廃業の理由は圧倒的に高齢と病気です。

働きたくても働けない…というケースです。高齢化が進んでいる、跡継ぎがいないのですね。

無理に事業を存続させるべきか否かということもあるので難しい部分です。

ただ、もしあなたがサポートしている自営業の方の年齢が高く、しかも跡継ぎがいなければ、経営の最大リスク要因は身体にあるということは、押さえて頂いた方が良いのではと思います。

どんなに業績が好転し、よいマーケティングとセールスの仕組みを作り上げても、働く人がいなくなれば、会社は動きません。私たちがそこまで考えるべきなのか?といわれると悩ましいです。

しかし、少なくともそのお客さんと長くお付き合いをしたいなら、思いを巡らせても良いのではないかと私は思っています。

商圏の拡大が売上高に直結する

続いて証券関連のデータ、これは興味深いです。集客や顧客化の重要性を再確認させてくれます。

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基本的にローカルビジネスは同一市町村、都市圏であれば乗降駅などを中心とした商圏が売上の多くを占めます。近隣市町村を含めると8割程度のようです。

これはお客さんの考える「nearby(近く)」が同一市町村、せいぜい広くてお隣さんくらいであることを示しています。SEOの地域キーワードや広告の出稿範囲はそれを基準にして設計した方が良いですね。

そして大事なのが、概要にある

売上が増加傾向にある者は約7割が商圏が拡大傾向。売上が増加傾向で商圏が減少傾向にある者は1.8%に過ぎず、売上高を増加させるためには商圏の拡大が必要。

ことです。

つまり、より広い範囲から集客し、そのお客さんをきっちり顧客化できるようにフォローできるかが売上に直結することを示しています。

印象としてですが、Webは新規顧客獲得を既存商圏の中で行うところから発想しがちです。なぜなら分かりやすいからです。計測しやすいからです。成果として掲げやすいからです。

しかし、経営という面で考えると、いかにその人達を得意先や固定客にするかという「顧客化」がとても重要です。既にいるお客さんのロイヤリティをより上げる施策の方が良いケースもあります。

いかに刈り取るか?も大事ですが、いかに育てるか?いかにつながり続けるか?です。

この辺り、本当はコンテンツ戦略が最も響くところです。しかし、今コンテンツ活用と呼ばれる物が、ただのコンテンツばらまきになってしまっているのは本当に悲しいことです。剽窃はいわずもがなです。

2017年は新規獲得だけではなく「商圏拡大」「顧客化」がキーワードとなるでしょう。

その文脈でコンテンツも考えるべきです。

Web/IT活用はほとんど進んでいない

これは、業界にいるものとして悲しいことであり、反省すべき事であるのですが、結論から言えば全然進んでいないというのが現状です。

概略スライドの8ページを丸ごと載せたいのですが、さすがに引用の範疇を超えそうなので、是非直接ご覧下さい。PDF直リンクしたくはないので、以下のページから閲覧ください。

中小企業庁:小規模企業白書
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/syoukiboindex.html
#この中の概要(PDF形式)の8ページ目

HTML形式もありますがフレームなのでダイレクトにリンクできないので…。

気になった部分をまとめますと

  • 情報管理におけるITというのはまだ、WordやExcelを使っていますレベルが大半。手書きがタイピングに変わっただけ
  • ネット販売・受注・予約(正確に何を示すかは不明)の導入は全体の17.1%に過ぎない。何もしてない割合は43.9%とほとんど半分をしめる
  • 売上高の中でネットからの受注が占める割合は、0%が8.7%、1%〜20%未満が63.5%と、実質ほとんど貢献していない。推測ですが1%-20%を腑分けしたらほとんどが5%未満ではないかと)

と、いう状態です。

ローカルビジネスが多いであろう小規模事業者については、ネットの販売率がそこまで高くあるべきでも無いと思いますが、それにしても少なすぎる印象です。また、まだ何もしていない企業が半分を占めます。

Webマーケティング市場から取り残されている陸の孤島状態です。予算の関係でどうにもこうにも行かないケースも多いのですが、何か投入していけないかと、いつも歩きながら考えています。

経営計画は立てたことがないケースが半分

続いて経営計画です。大事ですね。しかし経営計画を立てた事が無い企業は多く、47%に及びます。

また、作成経験があるという人の中でも、補助金を得るために必要だったから作ったという他律的要因が最も多いです。

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多分、小規模事業者特化補助金を得るための経営計画書のことですかね。

きっかけとして良いとは思うのですが、とは言え、本当はそれがなくとも計画を立てた方がいいですね。

因果関係というよりは、相関関係に近いようにも思いますが、経営計画を立てている企業は売上高の増加傾向が高いという数字が出ています。

私のコンサル経験上も、売上がきちんと増加していて、そして引き合いも多い企業は、ほぼ確実に数字付けをきっちりしています。

目標値を持ち、原価率や顧客獲得単価などをExcelで管理し、目標に向かって日々の軌道修正をされています。経営計画を立てる、目標を立てて、常に達成率を意識しながら会社を回すことは大きな効果があります。

それに、5カ年計画などを立てると、もうさまざまなことをシミュレーションしなければなりませんから、自分に経営者として足りないことも分かりますしね。

理想的には、マーケティング+CRM+経営管理、これはセットで一貫性を持って入れたい。小さな企業に入れられるような何かソリューションを作りたいです。

その他の情報

この後も色々データがあります。第二章はフリーランスの話なので、特にフリーの方は現状を見て頂くと良いのではと思います。

今回、量が多いので(本で買うと結構分厚い)概略PDFを参照しましたが、元のデータはもっと詳しいです。お時間があれば年末年始にHTML版などご覧になってはいかがでしょうか。

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