おはようございます、ラウンドナップ中山です。溜まっていた某経済誌を一気に目を通したのですが、「ポストコロナの顧客戦略」という特集の中で、ちょっと怖いなという内容がありましたので、それに対するコメントと、中小企業の方に気をつけていただきたい点を今回はお届けできればと思います。
具体的には、以下のような内容です。このような論旨は該当記事に限らず、よくあります。
- 日本企業はブランド戦略が未だに弱く、場当たり的である
- 先進的な海外企業(J&Jやコカ・コーラなどがよく挙げられる)はブランド資産を構築している。そのため新規事業への拡張などがしやすい
- 日本企業もきちんと中長期を見たブランド戦略をたてなければいけない。
- その差異起点になるものの一つが「創業時の精神」だ、なぜなら多くの日本企業では創業時精神に強烈な想いやこだわりがあるからだ。それを使わない手はない。
- それを今に合わせて伝わるようにアレンジしてみると良い
ただ、これは行間に注釈を色々入れていかないと、誤解を招く怖い論旨です。
一歩間違えると
「独りよがりで、今の時代に通じないブランド戦略」
をとってしまう可能性があるからです
なぜでしょうか?今回はそれがテーマです。
Contents
今週のトピックス
おはようございます、ラウンドナップの中山です。
創業時と今とではお客さんの価値観が大きく異なる
まずそもそも、日本企業は歴史の長い企業が多いです。100年企業という言葉があります。文字通り創業から100年を超えている企業ですね。この100年企業のうち日本企業はどれくらいあると思いますか?
帝国データバンク、ビューロー・ヴァン・ダイク社のorbisの企業情報(2019年10月調査)によると、全体の41.3%が日本です。半分近いんですね。
全体的に、日本は長年やってきた企業が多いのです。
仮に半分の50年だとしても、創業時と今、事業環境はもちろんお客さんの考え方や価値観も大きく変わっています。
創業者の精神はその時の社会環境に対しての「なんとかしなければ」といった思いが占める部分が大きいですから、それが周りに響くかどうかはその時代背景に大きく影響されるのは明らかです。
すなわち、創業時の精神をそのまま持ってきても、響かない可能性のほうが大きいのです。
「原点回帰」という分かりやすい言葉に惑わされてはいけない
日本人は「原点回帰」という言葉が好きなように思います。それは恐らく、様々な文明を自分のものとして柔軟に取り込んできた歴史の一つの裏返しではないかと思います。
そしてこの「創業時の精神に立ち返る」というのも、まさに原点回帰の典型例です。なので、なんとなく納得してしまうのだと考えます。
しかし、実際「そのまま創業時の精神を持っててきてブランド価値の中有心にすえてうまくいく例は極めて少ない」と考えたほうが良いです。
理由はシンプルで、そのまま持ってきても、時代に合わないからです。今の人に響かないからです。ひとりよがりになってしまいがちだからです。
創業時の精神は役に立たないかというと、そうではない
では、創業時の精神などは意味がないかというと、決してそうではありません。大事なのは、時代性を剥ぎ取った上で残る「コア」を見つけて、それを今の時代に合わせて表現できれば、今の時代に通じるストーリーやコンセプトに消化できる可能性があります。
時代性を剥ぎ取ると、シンプルに社会をどうしたかったのかが見えてきます。
「何かを民主化したかったのか(上の方の人しか手に入らないものを、あまねく手に入るようにしたかったのか)」
「解決されていない課題を、何かの手段で解決する挑戦をしたかったのか」
「タブーを破って、透明性の高い何かを作りたかった」
などなど、その会社の成り立ちとしての性格が見えてきます。
それをむき出しにした後に、今の社会の中でどうそれを表現するか考え、コンセプトとして落とし込む。それを納得してもらいやすくするために、創業時の精神をストーリーとして使う。この形なら使えるものになります。
この流れであれば、うまく使えるはずです。私もコンセプト構築の中で、この「時代性剥ぎ取り」と「今への落とし込み」は必ず頭の中で行っています。
無理やり形だけのものを作ることのリスク
そして、時代性を剥ぎ取ったとき、ブランドやストーリーとして使えるものがないケースもあります。端的に言えば「会社を大きくしたかったから」「食うためにやった」ようなケースです。特に戦後初の企業に多いです。
これは悪いことではないです。当然のことです。そして、そういう企業の方が多いのではないでしょうか?
私がおすすめできないのは、こういう会社なのに、何か色々お化粧をしたり無理やりストーリーをこじつけて、さも昔から理念が合ったかのように装うことです。
なぜおすすめできないか?
それは一言で言えば「バレる」からです。お客様からも、そして社内からも。
HPリニューアルのご相談を頂いた場合、私はコンセプトの把握から入ります。
その際、いろいろな方にご意見を伺う機会があります。そうすると少なくない割合で「今のホームページのキャッチや打ち出しには納得していない」というご意見を聞くんです。「売るためにそうしてるんですよね(実際現場で考えたこともないですが)」という声です。
こういう状態の場合、お客さんにも響きませんし、社内でそのコンセプトに沿って一貫性のある行動が取れるわけがないので、反響が取れてもその後の成約やリピート率がなかなかあがりません。
場合によってはゼロベースで考えたほうが良い
無理やり作った「強み」や「物語」や「理念」はむしろマイナス要因になります。
その場合は、もうゼロベースで「今私達は何をしたいのか」を考えて、それを使うことをお勧めします。従業員の方も巻き込んで、まず社内で納得できるものを作っていきませんか?
そのほうが社内の足並みも揃いますし、お客様にも響くものができます。無理やり海外の事例に当てはめて、創業時精神なんて持ち出すとおかしくなります。
ぜひ、無理矢理ではなく今のみんなで作り上げる、そんな形で差別化のためのコンセプトを作り上げてみてはいかがでしょうか。
終わりに
今、うちは電話窓口をカットしています。なので基本的には電話はかかってこないはずなのですが…(お客様とはビデオ会議なので)しかし一日10件以上の営業電話が来ます。携帯の番号から050番号、一般回線などさまざまです。
検索して営業電話だと分かった場合着信拒否にしています。メールも相変わらず問い合わせフォームから含めて1日5件以上来ます。FAXは詐欺っぽいの含めて知らないところからのものが週に4−5枚は来ます。
厳しい状況なのだろうというのは分かるのですが、どの会社もやることだらけで余裕のないコロナ禍の中で、そんな営業してどうするんだろうと思うところです。
インバウンドで自然と問い合わせが来るような仕組みづくりが必要ですよね。こういうときこそ、お互いに気持の良い取り引きができるような方向を模索しなければいけないと、日々人の振り見て我が振り直せと思っております。
お困りの方、よろしければご相談ください。
では、また次回もメールしますね。