ホーム » podcasts » ツール・システム » 第181回:中小・小規模事業者はマーケティングオートメーションをどう見るべきか?

今回の内容について

今回は、マーケティングオートメーションツールについてです。

過去何度か取り上げておりますが、今回は、将来を見据えて中小・小規模事業者が本来持って頂くことをお勧めしたい姿勢と、なぜ導入に失敗してしまうケースが少なくないのか、その理由について扱います。

ツール自体は非常に利用価値のあるものです、そこに至るまでのステップと必要な前提条件、自分たちの商売に対する見方、などがトピックスです。

エピソード詳細

今回のテーマは、マーケティングオートメーションというツールについて、それをどう見るべきかというところをお伝えします。

「どう見るべきか」というのは、 WebやITに対しての習熟度、会社としての慣れ親しんでいる度合い、あるいは掛けられる費用やお金、それから業種業態、様々なところで変わってきます。

今回はあくまで、私のお客様として最も多い、中小あるいは小規模の事業者の方々へのお話になります。「WebやITのことはよくわからない」という方々が、マーケティングオートメーションのツールに対して、どのように接するべきかについてお伝えします。

マーケティングオートメーションは魔法の杖ではない

マーケティングオートメーションについては以前から何度か取り上げていますが、基本的には否定的な内容をお送りしてきました。

少し誤解がある言い方をしてきたかもしれませんが、マーケティングオートメーションのツール自体はすごく有用なものです。

ただ問題は、それを入れればなんとかなる、魔法の杖や銀の弾丸という風に呼ぶこともありますが、そういうものだと思ってしまうことです。とりあえず投資してしまい、後で使われなくなって終わってしまうというケースが非常に多いです。

しかも投資する金額がホームページのリニューアルなどに比べると非常に大きくなってしまいます。それで、中小企業や小規模事業の方は、まだ考えなくてもいいという言い方をしました。

ここを今回はもう少し掘り下げていきます。

事前準備が整ってこそ武器となる

マーケティングオートメーションツールをきちんと使いこなせるようになれば、うまくマーケティングを回せるようになります。

そして、そうなるとものすごく強いです。一番いいのはそこに行っていただくことです。

ただ、それは、そのツール云々を考える以前に、たくさんの事前準備をして、商売を考えた上でやらなければいけないことです。いきなり使い始めて、使いながら何とか慣れて行こうとか、小さく始めて何とかしようと考えると、間違いなく失敗します。

小規模企業あるいは中小企業で WebやITに詳しくない企業の方々は、まず、将来的にはマーケティングオートメーションツールを使いこなせるような状態になろうという目標を持つこと。

そして、現実的にそこに至るまでに一体自分達は何をして、最終的に何年か後、3年とか4年とか…もっと短く済むかもしれませんし、忙しいともっとかかるかもしれません。そういう目標とする期間の後に入れられるようにしていこう、まずそういう風に取り組んでいただきたいと思います。

それがまず一つ目としてお伝えしたいことです。

マーケティングオートメーションの役割

マーケティングオートメーションについてざっくりと説明をすると、マーケティングを自動化するツールです。では、マーケティングの何を自動化するのでしょうか。

マーケティングの役目は、セールスをしている人であったり、セールスをするページであったり、広く言うセールスパーソンの前に人を連れてくることです。

その中で確度を高くしたり、常にお客さんの不安を取り除いておくとか、セールスの助けをすることがいろいろ入ってきます。ただその際に、まずセールスのところに人を連れてくるのがマーケティングの役目です。

お客さんをいろんなところから連れてくるわけです。

それは Web だけでも、ホームページの検索もあれば、ソーシャルネットワーク、ソーシャルメディア、それから人からの紹介、他のサイトで紹介されていたから…そのように、いろんな接点があります。

それぞれの接点によって、お客さんの熱さは全然違います。

あるところから来た人はすごくほかほかで、すぐセールスを掛けてもいいんじゃないかという感じの人がいます。また、別のところから来た人というのはものすごく薄くてもっと潜在的なニーズを掘り起こしてあげる必要があって、それから興味を持つような情報を定期的にお送りして、少しずつ興味を持ってもらうもらわなければいけないとか、いろんな濃淡があるわけです。

みんながみんな、全てに対して同じ対応をしていると、お客さんによっては「そういうことはもう分かっているから、もう本題に入ってくれ」と思うかもしれないし、そうじゃない人にとっては「いきなり難しいこと言われても分からない」となるかもしれません。

なので個別に色々なパターンを作って、そのお客さんごとに自動的にメールであったりコンテンツであったり、それ以外のセールスのアプローチであったり、そういうものをお客さんごとにできるだけマンツーマン、ワントゥーワンに近いような形で提供していきます。そしてきちんと成約まで持って行こうというわけです。

入れておけば勝手に問い合わせが増えるツールでは無い

その部分を自動的なツールに任せられるようにして効率化を図り、他のことにリソースを割こう、よりたくさんのお客様を取り込んでいけるようにしようというものがマーケティングオートメーションなのです。人間には限界がありますが、ツールであれば24時間働いてくれますからね。

これさえ入れておけば勝手にお客様が問い合わせをしてくれるようになるツールというわけではありません。自分たちの商売でこれまで人がやっていた作業をうまく自動化して、それを省力化して拡大発展を目指すというものです。

見込み客の獲得と集客を楽にして、しかも反応率を上げる、それを自動的にやってくれるものなので、だからこそ高価になります。営業マン何人分もの仕事をこなしてくれる可能性があるので、当然月額費用も3桁万円台になっても仕方がありません。他のツールとは一線を画す可能性を秘めたツールなのです。

導入前に、そもそもの仕組み作りが必要

それではなぜこれを入れて失敗するのかというと、導入しただけではどうしようもないからです。導入する際に自分たちの商売の流れ、最終的にどう成約へ持っていくかという手順や、与えるための情報や、どれくらい待つかということや、待った人をどうリストアップして再フォローを忘れないようにするか、どういう質問をするとお客様の確度が分かるかという情報が必要です。

それらがない状態で導入しても、何にもなりません。お客様に対してどういう取り組みをしていけば自社サービスに対して魅力を感じてもらえて契約に結びつくのか、という情報がそもそも企業の中になければ、ツールを入れても何を自動化すれば良いのか分からない状態になり失敗してしまいます。

もし資金があれば、導入支援業者が一緒に取り組んでくれて、何とか商売の流れを引き出してうまい仕組みを作ってもらえて回り出すというケースもあります。しかし残念ながら、皆さんの中にある程度顕在的にそういった情報がないと、引き出すほうにも限界があるのです。

そもそもそういう仕組みがないというケースもあります。

お互い不幸な結果になりがち

何となく売れているからまあいいや、という状態の場合です。当然導入支援会社としては高いツールを長く使ってもらいたいので頑張っていろいろなことをしてくれますが、それにも限界があります。そしてお互い不幸な結果になり、マーケティングオートメーションは役に立たないという認識になってしまっているのだと思います。

果たしてそれをツールや支援業者のせいにして良いのでしょうか。もちろんツールを押し売りされたのであれば問題ですが、そうでなければ皆さん自身もいろいろなことを見える化してこなかったことが問題だと捉えるべきではないでしょうか。

MAツールを入れなくても考えることは意義がある

それでは何をしていただきたいかというと、マーケティングオートメーションツールを入れられるくらい見える化されたマーケティングの仕組みは絶対に作ったほうが良いです。

これから人はどんどん少なくなっていくので働く人も、お客様の数も減っていきます。となると、当然業務の効率化をしていかなければ成り立ちません。

またこれからの時代、人材の流動性も上がっていきます。人に頼った営業やマーケティングを行っていると、その人が辞めてしまうとそこで立ちゆかなくなってしまいます。そういう意味でもこれからの時代、仕組み化しておかないと怖いのです。

まず、自社の商品はどういうステップを踏めば購入してもらえるのかを把握しましょう。そしてすぐに買ってくれるお客様、将来的にはきっと買ってくれるだろうお客様、それぞれに対してのスコアリングをできるようになってください。

まずはツールに頼らず仕組みを育てていくと良い

第一に自分たちがマーケティングの仕組みを仮作成→検証の繰り返しをまず行ってみてください。それから、見込み客の熱さを図る(スコアリング)ために、どんな質問や活動をすれば良いのかを考えてみてください。

それが正しいかどうかをひたすら検証していきます。「意外とこういう質問にこう返ってくる人は反応が良くない」「実はこちらのほうが大事かもしれない」「こういう傾向の人にはこういう情報を与えると急に反応が良くなる」等、いろいろなことを考えてみます。

最終的に、うちのお客様はここから来た場合はこの情報を与えて、その中でこういう反応があればこう対応してあげればいいんだ、というようなシナリオをたくさん積み上げていきます。そこまで来て始めて、それを楽にするためにWEBを使って同じことを効率化していくにはどうしたらいいのかという話になります。

たくさんできたシナリオをうまく回していくためには、どのマーケティングオートメーションツールを使えば良いかを考える、というステップを踏んでいきましょう。

まとめ

今マーケティングオートメーションツールは「便利だ」という声と「お金の無駄だ」という声にきれいに二分化されていますが、どちらも間違っていると思っています。

そこに至る道筋をまず企業がきちんと構築していくことが重要です。その際にしっかりと支援業者に関わってもらうというのも一つの手です。

当社の場合は、実際に運用しながら「今月のお客様で取れた取れないの差は?」「営業マンがどういう話をすると反応が良い?」といったことを一緒に考えていきます。そういった実際の事例から、検索キーワードによるアプローチ方法を考えたり、コミュニケーションまでのミニマム期間を一緒に試行錯誤しながら考えたりしていきます。

ここまですると自分たちの商売がはっきりと見えてきて、将来的に高い金額のマーケティングオートメーションを入れても十分にペイすることができます。うまくいっているところは、だいたいそういうケースになっています。大手はたいてい、このケースが既にできています。

理想を言えば、きちんと投資に対してリターンが返ってくる形で中小企業・小規模事業者になっていただけたらと思います。その第一歩として、まず何をどう自動化するのかを考えていきましょうというお話でした。


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中山 陽平

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