ホーム » podcasts » 経営者・社長向け » 第183回:中小企業白書・小規模事業白書から見える、生き残るために今行っておきたいこととは?

今回の内容について

4月26日付で経済産業省・中小企業庁から小規模事業白書と中小企業白書の2019年版が出ました。PDFで全文閲覧できます。

今回の柱とは何か?はもちろんのこと、相変わらずのテーマとなっている「事業承継」と「IT活用(IoT等含む)」について、その下敷きとなっている「中小・小規模事業者が行っていなければならないこと」について、お伝えしています。

いろいろなことに置き換えをしながら読んで頂くと良いかもしれません。その観点での使い方をお伝えしています。

エピソード詳細

今回のテーマは、中小企業白書と小規模企業白書の最新版2019年版についてです。

中小企業庁:2019年版「中小企業白書」「小規模企業白書」を公表します
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/190426hakusyo.html

経済産業省、中小企業庁から発表されています。4月26日のリリースだったらしいのですが、私が気づいたのは今日です。

全文、それから概要が、経済産業省のホームページに掲載されています。

中小企業庁トップページの「白書統計情報」の中に、小規模企業白書と中小企業白書が PDF でアップされています。

これは販売されるはずですが、買っていただいてももちろんいいと思いますし、 PDF でも全部無料で見られます。今は英語版もあります。まだ英語版は今回は出てないのかな…

印刷してもらってもいいのですが、私は本の読み方がわりと一周回ってまた線を引いたり付箋を貼ったりするので、買っています。PDFでしたら、Kindleなどで見てもらうといいですね。

中小企業白書、本文の方は長いです。

具体的な理由やデータが載っているので、もちろん興味のある方やこれを聞いている方の中で中小企業とか小規模企業の方々をサポートする立場にある方は、ぜひ元のものを読んでください。

そうではない、いわゆる事業経営者の方々は、ぜひ概要だけでも見て、その中で気になる部分については本文を参照していただくと良いでしょう。

経営者が中小企業白書を読むべき理由

理由は二つあります。

一つ目は、自分たちの抱えてる問題が業界的な問題なのか、中小企業全体で抱えている問題なのか、あるいはそうではなくて他では特に問題になっていないが自分たちの中では問題になっているようなことなのか、この切り分けが出来るということです。

業界全体として問題になっている、例えばそれは雇用の問題であったり、働き方改革をする対応の問題であったり、そういう風に横断的に課題になっているものであれば、どうやって解決するかは、そういう方向の情報を取りに行けばいいと思います。

それに対して、自分たちのところ以外はそんなに困ってるわけではないということがあれば、自分のところに何か内在的な問題があるのではないかということになり、その観点からの様々なリサーチや改善活動を行っていくことになります。

そこの大きな切り分けができると思います。

業界全体だから諦めようとかそういうことではありません。

困ってることは基本的に全部解決していく方向で経営者は考えていかなければいけないわけですが、その第一歩をどちらの方向に踏み出すかという点で見ていただくといいですね。

また特に中小企業や小規模企業の経営者の方々は忙しいです。

そうすると目の前のことやマネジメントなど、色々なことを同時にやっていて、人によってはプレイヤーであり営業も行っているとか、トップ営業もやっているとか、そういう状況だとなかなか、自分の会社の中の問題を内省する時間がなかったり、気付けなかったりします。

その時に、この業界全体、中小企業や小規模企業の中で抱えている問題や問題意識というものを見ることによって、実はうちもそうなのではないかと思って調べたら、やっぱりそうだったという発見がある。

そういう、自分達も気付けなかったような問題に気づくことができるという利点もあります。

是非そういう観点で、移動中とか寝る前とか、少しずつでも目を通してみてください。

できれば、2年前3年前ぐらいまで遡って、概要だけでもチェックをすると、こんな風に世界は動いているんだということが分かりやすいです。

2019年版の中小企業白書は、昨年とほぼ同テーマ

さて、今回の2019年版の中小企業白書と小規模企業白書の内容は具体的にどうだったかというと、大きなトピックスとしては、昨年と変わっていないです。

昨年は、「生産性をあげましょう」というところと、「事業承継」というところ、それに合わせて様々な補助金が行われていました。

今年もそうです。

ただその中で、去年いろんなことをやってきて、特に事業承継のところは「こういう成果がありました」とか、実際の事例も載っています。

中小企業白書では、そういった蓄積していきたいナレッジの公開もされているということになります。

ただテーマ大きくは相変わらず、経営者の世代交代という「事業承継」と、それからIT化というよりは「時代の変化、構造変化への対応が必要」というところです。

あともう一つは昨年、今年も含めてですが、各地で色々な災害がありました。

今回の中小企業白書、小規模企業ではその防災や減災についても大きく柱としてあげている感じです。

戦後70年近くたち、2代目の経営者が3代目を探すような時期

これを読んで感じるのは、戦後70年近くたち、2代目の経営者が3代目を探すような時期なのかなと。また民主化が進んだ明治時代からずっとやってきた会社さんも、今の時代の流れをなかなかキャッチアップできず困っている時期なのかなということです。

事業承継を親族間ではなく第三者にしていくパターンが増えていかなくてはいけません。今のWEB・ITがどんどん乗ってきている時代にどう動くのか、どんなツールを使ってどんな情報を発信して、どう行動を起こしていかなくてはいけないのか。

こういう時に根っことしてこのあたりを意識していないと、新しいツールや技を自分たちに適した状態で動かせないのではないかと思うことがあります。

自分たちの商売を俯瞰してみる

それは何かというと、自分たちの商売を俯瞰してみた時に、どんな人にどんな価値を提供できているからここに立っているのか、ということを見つめ直し明確化することです。

例えば食料品を置いている会社であれば、来たお客様においしいと思ってもらい楽しく帰ってもらうとかいうことではなく、

「その先にこういう生活をしている方々に、自分たちの食品を通じてこういう気持ちになってもらって、人生を通してこういう付加価値を与えられているのではないか」

という、もう少し上の段階から見た自分たちの提供できる価値を考えます。

今までそれがなかったとしたら、お客様から実はこうだったということを引き出します。

あるいは、今まで考えずともうまくやってこられたけれど、本来はこういうことをやるべきなのではないか、と。一つか二つ俯瞰して見た時に世の中に提供している価値を、今きちんと明確に認識して、それを会社全体で共有することが非常に大事です。

もしこれができていれば、自社の事業承継は恐らくスムーズに進むと思います。なぜかというと、自分たちがどんな価値をどういう人に提供しているのか、それによってどんな売上が上がっているのかが分かっていれば、マッチングの精度が確実に上がるからです。

何となくこの地域でこの業種をやっているので承継先を探すという会社と比べると、確実に良いマッチング起きるわけです。皆さんがたくさんの顧客を抱えていればいるほど、皆さんだからこそ提供できている様々なものがあるはずです。廃業してしまった場合、当然その方々には何らかのマイナスが発生してしまいます。

どんな継承先を探すべきかが分かってくる

そういうことを少しでも減らし、その方々の人生・生活・会社をできるだけ今のまま維持してもらおうと考えると、どんな継承先を探すべきかが分かってくると思うのです。

そしてそれがはっきりしてくると、社内で、自分はこのあたりのことが得意だし資金もあるから承継したいというケースも出てくると思います。漠然と「自分の会社を継いでくれる人はいないかな」と考えるよりも、きちんとバリューを認識していたほうが良いと思います。

デジタル化について

もう一点、デジタル化についてです。中小企業白書・小規模企業白書では、IoTやAIがメインで書かれていますが、そもそものデジタル化がまだ全然進んでいないところもありますよね。HPもモバイル化していないところもたくさんあります。

自分たちが何を取り入れるのか、どんなIoTを入れるべきか、どういう支援ツールを入れるべきか、そもそも自分たちの商品やサービスをお客様に買ってもらうためには何を伝えていかなければならないのか。

これらをきちんと道筋立てて考えるためには、まず自分たちがなぜ今まで商売を続けてこられて、その中で誰にどのような価値を提供できたのか、これを産業という感覚で把握しなくてはいけません。

「何となく売れていた、何となくやってこられた」とおっしゃる方は、私が仕事をしていても多く出会います。しかし掘り起こしてみると、お客様はこんなに様々な場所を巡り巡って来ていたんだと発覚することがたくさんあります。経営者の方がそれを初めて知るということも多々ありました。

WEBやIoTを使えば何でも良いというわけではありません。なぜなら、これからどちらに進むべきか、誰に対してより良いサービスを作るべきかがはっきりしないと、投資が無駄になってしまいます。また、そうしなければ既存のお客様の喜びにもつながりません。

自分たちがこれまで商売を続けてこられた、理由を考えましょう

ですから、ぜひ事業承継のタイミングではない会社さんも含めて、自分たちがこれまで商売を続けてこられた、売上を上げてこられたのかを考えましょう。無理な営業で何とかなるような時代ではありません。

なぜ他ではなく自社を選んで大事なお金を落としてくれているのかということを、きちんと見直さなければいけません。

白書にざっと目を通していただいたら、なぜ商売を続けてこられているのかをまずは経営者の方々が考えましょう。その後に、できれば社員と共有していきましょう。

そうすればまた違った印象が分かったり、できていないことが分かったり、違う観点での種が生まれるきっかけにもなります。これから生き残る術を考える最後のタイミングではないでしょうか。

フリーランスの方も同じ

小規模白書では創業やフリーランスのすすめのようなものも載っていたりしますが、そちらにも同じことが言えます。何となく儲かりそうだから、何となく人に使われたくないからという理由だけだと持ちません。まだお客様はいない状態でしょうが、誰に何を提供したいのかを考えてから創業やフリーランスについて計画を立てていくと良いでしょう。

小規模事業者持続化補助金は、こういうことを考えるのにとても良いきっかけになります。IT導入補助金のようにネット上で簡単に書いて終わりではありません。一つ一つ話し合いながら決めていくようなものです。MAX50万円という金額を大して大きく感じない企業規模の方もいらっしゃるかもしれませんが、このように自社を省みるという名目で頑張ってみるのも良いのはないでしょうか。社内でこれをコンテスト化してみるのも良いでしょう。

まとめ

今回お伝えしたかったことはまず、中小企業白書・小規模企業白書が出たということ。コンサルだけではなく、ぜひ経営層や一般の方にも見てもらいたいということです。その上で自社の課題や、なぜ生き残ってこられたのかについて見つめ直すことができます。事業承継に関係ないという方も、こういったことを考えるきっかけにしていただければと思います。

そしてちょうど小規模事業者持続化補助金の募集が始まりました。会社として一つ出しても良いですし、社内でコンテスト化しても良いですので、経営計画や理念を考えて見直していくタイミングにしてみてはいかがでしょうか。


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中山 陽平

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