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第210回:「アマゾンの制裁」の概要と、あなたも対岸の火事ではない!根っこの問題について

今回の内容について

【第210回】アマゾンの制裁の概要と、EC関係なくても、あなたも対岸の火事ではない!根っこの問題とは?

東洋経済ONLINEの記事にて「アマゾンの制裁で会社を潰しかけた36歳の告白」という記事が話題になっています。

賛否両論様々な意見がありますが、これはECサイトだけの話ではなく、Webを中心とした様々な商売でも同じようなリスクをはらんだ体制になっていることが少なくない。それに気づいて頂きたいです。

そして根本的な原因は?それは経営者の行動にあると考えています。

詳しくは、この動画か、iTunes/Googleの音声ポッドキャストをお聞き下さい。

YouTubeで動画形式で配信しています

YouTubeにて動画にて配信しています。内容自体は同じです。お好きな方をご覧下さい。

エピソード詳細

今回のテーマとしては、Twitterでも話題になっていた内容です。

「Amazonの制裁」という言葉がTwitterの方でトレンド入りしていました。東洋経済オンラインの記事ですね。

「Amazon の制裁」について賛否両論というか、同情的な声もあれば、「商売としてリスクヘッジしていないやり方はダメだよ」っていう声もあったりします。非常に興味深いです。

商売を自分でやっている方もいればやっていない方もいて、いろんな感じ方があります。

商売をやっているにしても、従業員という立場なのか、経営者という立場なのかで、いろいろ違ってくるものがあります。

いろんな意見が飛び交っています。誹謗中傷というよりは自分がどう感じたのかというものが飛び交っているんで、面白いですね。

「Amazonの制裁」は決して他人ごとではない

Amazonについての話ですが、詳細はわからないです。

一方の意見しか分からないですし、載っている情報についても、ウラ取りをしたわけではないです。なので、概略はお伝えしますが、詳細については、ちょっと置いておきます。

こういうものは決して、Amazonを使っているとか、それからECサイトを運営しているということだけではなくて、商売全体としてこういう危険性を孕んでいる企業は多いですよね。

今回は、そういうことにまず気づいていただきたいです。

それと、じゃあそれに対して経営者や営業部門の上の方にいる方は、一体どういうことを考えていかなければならないのか、ということを、WEBのマーケティングとかセールスの話題を中心にお伝えします。

たった一つの販路が潰されて・・・

今回の「Amazonの制裁で会社を潰しかけた36歳の告白」。私が38歳なので2つ下なんですけれども、肉体的にもだんだん厳しくなってくるような年だと思うんです。

Amazonは、私もアカウントは作ったんですが出品したことはないんですが、確か、固定の金額と手数料で運営できたと思います。

そこで何が起きたかっていうと、売っている商品に関して、突然Amazon の方から、その商品に関してNGが出たと。知的財産権とそのため権利を侵害しているということで、ざっくりいうと、おそらく誰かが、コピー商品が送られてきましたよ、というふうに通報をAmazonにしたんじゃないかなということです。

さらに、少し前に、突然、50個ぐらい急に代引きで商品を買って、でも商品を受け取らないで返してきた、というお客様がいたらしいんです。Amazonの仕様として、代引きは受け取らなくてもレビューが書けるようなんです。

そういう状況で、もしかしたら何かこう悪意のあることがあったんじゃないかな、っていうような、推測でしかない話です。Amazonでは情報提供は全然してくれないらしいんで、そういう推測の話になります。

モールに出店すれば集客の最低レベルはクリアされるが

じゃあ、そこに対して、どうしていればよかったのかな?っていうところですね。

結構いろいろなコメントを見ていると、「 Amazon だけじゃなくて、いろんなモールへ出品するのが当たり前だよ」とか、Amazonだけを使い続けてリスクヘッジしなかったのが問題だと、そういうような話になってます。

実際、私は、ECの業界は規模感的に合わないので、やらないケースが多いんですが、今であれば、楽天とかヤフーとか、そういうモールに出店しつつ、その後のいろんなフォローとかロイヤルカスタマーを作っていくとか、アップセルをするとか、それからリストを整理して、顧客台帳に対して何度もアップするとか、クロスセルをかけていく。

そういう流れを作っていくのが基本で、「Amazonに一本に絞って、そこの集客力を利用して、商品流して売上を上げていくだけ、というのは危険だよ。」そういう話が元々ECではあるのは大前提とします。

モールの魅力っていうのは、どう考えても集客力です

集客って、一番大変かつ重要な部分ですよね。どんな人を連れてくるのか、販売意欲がある人を連れてこれるのか、どれだけいっぱいつれてこれるのか。そういったところで、 Amazon とか楽天さんとかそれからヤフーさんとか、そういうところであれば、一応購買意欲を持った人が、そして、一定の「買う」っていうことを経験してきた人が、どんどん入ってきます。

なので、一定のお金を払えば、買う気満々の人がたくさん歩いている路面店の前に自分のお店をポンと出すことができる、っていう状況なわけです。

自社は独自で本店でひたすらやっていくぞという場合には、もちろんその先にあるお客様のフォロー、ブランド作りではうまくやっていくことはできるでしょうが、最初の集客部分、お客様に商品やサービスを使ってもらってフィードバックを得る、評判を形成していくという部分がなかなか前に進まないので、最初は平行して使っていくことが多いと思います。

EC以外の業界も同じ危険性をはらんでいる

これはECだけではなく、他の業界にも言えることです。

集客というものをひたすら考えて、あとは利益が出ていればいいやと思ってしまうケースは結構あると思います。また、別に自社でやらなくてもアウトソーシングしてしまえばいいというケースもあるし、そういう会社からのオファーもよくあります。ECに限らず、たくさんあります。

例えばリアル系だとチラシを作ってチラシ配布まで代行してくれる会社に頼んで、そうすると電話が月に○件かかってくるからこれくらいの売上を作ることができると。微妙な場合には追加費用を払うとこれくらい動いてくれるからなんとかなるから、うちは全然困っていませんという方もいます。

またネット広告も業者に任せて、今これくらい来ているから任せておけばいいと思っています、というケース。HPもどんなコンテンツを足すか、SEOのチューニングをしていくかという部分も、自分たちはブログを書くくらいであとは業者に全て任せて問い合わせフォームから問い合わせが来るから良いと思います、というケースも結構あります。

集客を外部任せにしているなら「同じ事」

これは今のAmazonの制裁の件と経営者の態度としては同じです。

つまり皆さん同じ危険性をはらんでいます。実際に当社で関わった会社さんであった例です。HP制作をした会社に集客も全て任せていて、月々いくらでこういうことをしていきますということを5、6年と長い期間やってくれていました。

その会社が、「規模的に大きくしていく関係で料金体系を見直しました。これからはこういうプランしかないので、金額は3倍くらいになります。」となってしまったそうです。2倍でも3倍でも、支払っている金額は2桁万円だったりするので、結構な値上げになりますよね。

これを飲まないという選択をした瞬間に、HPからの集客力がドンと落ちます。その後の更新もされないので、どんどん下がっていき上がっていくことはありません。では払うとなるとかなり利益を圧迫してしまいます。そのために商品値上げをするのか、内部コストを下げるのか、いろいろなことを考える必要が出てきます。

また別の例では、電話代行など営業代行を利用していたのですが、やはり単価を上げてくれないと無理だということで切られてしまったというケースです。また、HPを中心に自社で集客していたが、急に順位が下がって昔のように人が来なくなってしまってどうしたら良いか分からないというケースもあります。

これは全部、集客という部分を任せたままにしてしまったことによるリスクです。

1社か複数社に任せているかという問題ではなく、そこに関して任せておけばOKだと思ってしまっている状況自体がマズいのです。

商売の最も重要なポイントである集客部分は主導権を持たないとマズい

これが例えばバックオフィス業務等の本当に機械的な作業であれば、クラウドに任せることやシステム化することはアリです。対人間で関わる、しかも商売の最も重要なポイントである集客部分について、経営者や営業責任者が「なぜ自社商品がどのチャネルからどう流れて売れているのか」ということを把握していないことが問題です。

さらに言えば、おそらくそういうことに時間を使えない状況のままその会社は来てしまったのだと思います。

現場に入ると、アップアップになる

創業すると何が一番大変かと言うと、さらに言えばなぜ創業前にいろいろな計画を立てなくてはいけないかというと、実際に第一線に出てしまうと経営者はやることがたくさんあるので、計画を立てるとか長い目線のことに着手できなくなってしまうのです。

またそれをするための勉強に時間を割けません。初めてみると、山のようにやるべきことが出てくるのです。私もそうでした。元々私は個人事業主だったのである程度覚悟して順番に法人化しているのでまだ良かったです。しかし良いアイデアが浮かんで起業して、社長になって矢面に立った瞬間に、やることは増えます。

どうしても、どこかに頼みたくなる

そうすると、今目の前に転がっていることを順番にこなすだけで精いっぱいになってしまうのです。そうなると事業も発展していきません。次長期的にどうするか考える余裕もないし、頭の中もいっぱいだし、短期的な資金繰りのほうが会社としては大事になってしまいます。

人を育てるための時間も取れなくなってしまいます。この会社の社長さんも、そんなに多くないらしい、首都圏の民家を借りて数人の従業員を雇って物販をやっていたらしいです。物販は忙しいですからね、問い合わせ対応や梱包も大変ですし、単価が低ければそれだけであっという間に人間の時間を使ってしまいます。

数人の従業員だと、たぶん自分でもいろいろなことをやったと思います。顧客対応もしていたと思います。

そうすると本来経営者としてやるべきリスクヘッジ、なぜ今Amazonで自社商品が売れているのか、次これがもしつぶれたどの販路で売れる可能性があるのか、どの商品なら売れるのか、そういうことを考えるべきだったと思います。

プライオリティを上げないといけない

もしAmazonはこういうことをする会社だと気づくことができて、もし自分たちがそうなったらどう販売していくかと考えていたら。今のうちに他に販路を作っておく、ネットに頼らない経路を作っておいて一時的にはしのげるようにしていく、何らかの資金繰りのサポートを受けられるようにしておく等、いろいろなことを先にできていたと思います。

それが今回はギリギリのラインでできていなかった結果、記事のように「Amazonの制裁で会社をつぶしそうになった36歳の告白」に繋がったのだと思います。

私たちが絶対に抑えるべき事

皆さんに感じていただきたいのはECはいろいろなところにうんぬんということではなく、第一に自分たちが今メインで集客しているチャネルは何かを把握することです。

そしてお客様はどういう経路で自社にたどり着いて、買うという決断をして、買ってもらえたのか。お客様の流れをきちんと把握しましょう。お客様に聞いてもいいですし、データを見てもいいです。では今の状況が急に変わった時に、自分たちが今のまま、あるいはギリギリのラインでも生き残れるようにするために今からできることはないのか。絶対に何かあります。

それを考えて、それについて社長とはそういうものに対して仕事をしていく。そういうことを行ってみてください。今外に任してしまっている方、いろいろな理由があると思います。時間がない、WEBの技術が分からない。でもそれを言っていたら、たぶんこれからもちません。

さらに言えばお客様の気持ちは今コロコロ変わっています。きちんと自分たちで把握してまとめていけないと、遅かれ早かれ何かしらの壁にぶつかると思います。まずWEBのことに詳しくないなら、勉強しましょう。勉強するためにいろいろな方法があります。本、オンライン学習、高いけれど専門的な人材を呼んで教えてもらう、当社のような外のサービスを使う。

「WEBのことをよく分かりません」はもう無理

「WEBのことをよく分かりません」と言って逃げていられる時代はもうギリギリアウトです。「営業ってよく分かりません」と言いながら商売しているようなものです。何もプログラミングやHTMLやCSSが分かるようになりなさいと言っているわけではありません。

そうではなくて、WEB上でお客様は何を考えて、どういうチャネルでどのように購買行動を取っているのかをきちんと把握して、必要な用語、トレンドを把握していけば良いのです。WEBとITの区別が付いていないケースが多くて、システムのことを分からなくてはいけないのではと考えがちです。

もちろん我々は分かっていないと、今のテクノロジー必須時代を生きてはいけませんし、お客様にアドバイスができません。しかし皆さんはそこにこだわらなくて大丈夫です。ただこちらと対話する最低限レベルの話はできるようになっておかないと、もちません。

営業も分かりません、自分たちはものづくりをしているだけですと言って生きていけるのは、いわゆるものづくりの時代、プロダクトがどんどん売れていた時代だけです。今はそんな時代ではありません。販売、集客に関してもきちんと経営者も把握していないとマズいです。

把握していないと現場との話も通じません。うちの社長はいろいろなところで話しているけれど、いわゆる営業はよく分からないから俺達だけで回そうぜ、となってしまったりします。

まとめ

今回のAmazonの制裁の件は決して対岸の火事ではありません。他の業種業態、WEBという枠組みで捉えて、皆さんも考えてみてください。自分たちが外に頼ってしまっていて、なんだかよく分からないけれどこれだけ払ったらこれだけ返ってくるという恩恵を受けているものがあれば、それが商売の根幹に関わるものであれば、きちんと自分たちである程度流れや状況を把握して、最低限別の業者に乗り換えられるようにしておかないとマズいです。

この記事を読んで、ぜひ経営者や営業部門の方々にはそういうことを考えていただきたいです。付いているコメントはどちらかというと経営とかではない方のものが多いので、コメントは見すぎないほうが良いと思います。根本的には経営者が経営者としてやるべきことに時間を使えなかった結果、大きな問題に直面した時に逃げ口がなくてつぶしかけるところまで追い詰められたという話です。

それによって誰かを幸せにできる商品が世の中から消えてしまうというのは、ものすごくもったいないことです。うちは大丈夫だと思わずに、こういうニュースからいろいろなことを感じていただければと思います。


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中山 陽平

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