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マーケティング・オートメーションが浸透するために必要な要素とは

Webコンサルタント業務日誌

MA(マーケティング・オートメーション)については一時のフィーバー期は脱したように思いますが、ひき続き注目されている存在です。気軽に試せそうな、低価格のツールも出てきて楽しみな存在です。

ツールは、AdobeMarketingCloudやSalesForce Pardot、MarketoやHubSpot、国内だとSynergyやシャノン、カイロスなどが有名です。

パードットやマルケトなどはいろいろなところで名前が出てきますし、国内製品は展示会に行けば大概大きなブースで出されています。

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シャノンのプレスリリースを読み解く

そして、国内で一番売っているのは、2017/1/27に新規上場したシャノンだそうです。

そのシャノン社が、プレスリリースを出していました。

▶シャノン BtoBマーケティングに関するアンケート調査結果を発表 進むマーケティングオートメーション格差
https://www.jiji.com/jc/article?k=000000084.000002984&g=prt

BtoB企業へのWebアンケートで、マーケティング活動の現状と課題の抽出について回答数は447社。

調査の結論としては

マーケティングオートメーション(以下MA)の導入企業と未導入企業において施策、状況把握、意識などあらゆる面で顕著な違いが現れ、その格差が浮き彫りになりました

(中略)

本調査で、各企業におけるマーケティング施策への取り組みは盛んになってきおり、その中でMA導入企業と未導入企業における格差が生まれていることが明らかになりました。企業は成果を求めるためにMAの導入を進め、その活用レベルが上がれば、この格差は今後もますます広がっていくものと思われます。

ということで、MAツールに対してアンテナを張って、しっかり導入して使っていく企業はどんどん前に進み、そこに反応できていない企業は置いて行かれるよ、という内容です。

この結論は果たして妥当でしょうか?

この調査自体は結論ありきの内容という前提で見た方が良い

この調査については、いわゆる結論ありきのリリースです。

例えるなら「風邪を引かない人は、健康に気を使っている・意識が高い傾向がある、だから運動しよう」と言う内容に近いです。因果関係あるいは相関関係を逆にしているパターンです。

MAツール自体まだまだ高価・高負荷です。また、それ以前のマーケティングやウェブ活用という所で困っている企業が大半なのが現実です。(少なくとも中小企業白書や小規模事業白書を見る限りは)

その中でMAを導入できるヒトモノカネがあり、しかもWebアンケートに前向きに回答をするモチベーションがある層というのは、そもそも企業としてWebマーケティングを回せるリソースやノウハウがある企業でしょう。

なので、結果としてマーケティングに対する認識やROI・ROASなどへの意識が導入企業と未導入企業で大きく違うのも当然。MAツールを入れたから上がった面も幾分かあるでしょうが、基本的にはそれ以前からの差でしょう。

置いて行かれる・格差が広がるなどはMAに限った話ではありません

投資できるサイクルを作った企業が、サイクルが回っていない企業を尻目に加速して二極化していくのは、MAツールの有無にかかわらず起こっている現象です。

では、MAツールは一気に浸透していくか?

急速な浸透や大衆化はまだまだ先かなと言う印象です。

MAツールが真に活躍するには、

  • 今はまだ上空にあるMAという概念を
  • 地上にある企業という泥臭い物にマッチするように
  • 間を取り持って仲介するような役目の人間や企業が必要

だからです。

この辺りは、2017年のDIAMOND QUARTERLY特別号の「CEOアジェンダ2017」の中の東大大学院経済学研究科教授の 藤本隆宏氏の、ものづくりに関する記事がとても興味深いと思っています。

関係する部分を抜粋すると

  • 「ものづくりやサービスの世界で『デジタル』という場合、次の三層に分けて考えるように氏はしている」
  • それは「1.上空のICT層(情報通信技術層)」「2.地上の現場のFA(ファクトリーオートメーション)層」「3.1と2を繋ぐ「低空」のICT-FAインタフェース層」
  • 上空のICTと地上のFAを連結する低空のiCT-FAインターフェイス層が重要

ということでした。

このことが、マーケティングオートメーションにも同様に当てはまるでしょう。

マーケティングは属人化している事が多く、ケースバイケース対応が必要

上空の技術は発展してどんどん前に進んでいるのですが、それを質量のある「組織」まで落とし込むところが難しい。

しかも、ICT-FA以上にマーケティングは属人性が高く、企業ごとの違いが大きい、かつ分かりづらい

ベンダー側がゴリゴリ進めても、企業の実態に沿わない可能性も高い。そうするとやはり、組織内での協力者・マーケティングに対する理解者がいないと厳しい。

すると、ベンダー・コンサルなどする側も、MAというシステム面と企業という組織マネジメント、そしてマーケティングの3つが揃ったチーム或いは個人が必須になります。

しかしまだまだこの層は業界としても育っていないと思いますし、そもそもレベルが高い人材です。そこにもう少し厚みが出るまでは、難しいかなと思う所です。

上手くいっているケースも、そういう人材がいたからと言う印象が強いです。

結論としては、MAを使いこなして成果を上げ、MAへの投資対効果が問題ないレベルまで持って行ける企業は、将来も一握りになると思います。時間が解決するものではありません。また、MAに投資する時間とお金を別のことに使った方が良いケースも多々あります

導入後、効果を感じているのは6割程度

実際、導入したけれども活用できないケースは少なくありません。

別のメディアでシャノンの代表の方がインタビューを受けています。

▶業界の常識は世間の非常識?
MA導入数日本一 シャノン社長に聞いたMAができるまでのハナシ – BITA デジマラボ
https://bita.jp/dml/shanon_ma

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これを見ると、シャノン社でさえ、導入した企業のうち効果があったと言う企業は61%。4割が上手くいかなかったと。なかなか難しい状況ですね。

終わりに

私はMA自体は非常に将来に向けて価値ある物だと思っています。しかし、それを無理に入れることはいかがな物かとす。

失敗した企業の方から話を伺うと「魔法の杖」のような扱いで導入して、いざ使ってみたら難しすぎて分からない…というケースがほとんどでした。

つまり現状としては、多くの場合、そもそも企業としてマーケティングの仕組みがないところにツールを入れているので、活用することも定着させることもできずに終わっています。

そもそも、顧客管理システムや、個客追跡と営業への活用(SFAとかインサイドセールスとか)などもまだまだ浸透していない段階。

すると、いきなりMAという複雑な物に取り組むよりは、まずはメールマーケティングや顧客管理と商談や案件管理などからスタートして、そしてじわじわと業務の見える化・標準化をしながら、最終的にはMA等を検討するのが良いのではないでしょうか。

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