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Webサイトの構成とコンテンツを考える際、認知心理学的に押えたいポイント

Webコンサルタント業務日誌

広告などで、クリックはされないが何度も表示されていればきっと、頭に染み付くだろうという考えかが有りますが、どうやらユーザーテストなどを繰り返した結果、それは「興味を持たない」というよりは、もっと残念なことに「認知のレベルで脱落している、つまり「気づいていない」かもしれません」

人が検索エンジンなどでWeb上でものを探すときに、そこには必ず「目的」がありますよね。それは、何かが必要だ、何かを知りたい、何かがほしい…対象は様々です。

また、程度も様々です。今すぐ欲しい場合もあれば、そのうち…あるいは、なんとなくこういうものないかな、と探しているだけのケースもあるかと思います。

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ホームページ(ホームページ)などに用意して、待ち構える

とは言え、ウェブ上で商売をしている以上、自分たちの商品やサービスで幸せにできる可能性がある人には、できるだけリーチしていきたいものです。

なので、そのニーズやウォンツに応えるものを、私たちはホームページ(ホームページ)などに用意して、待ち構えていないければなりません。

なぜなら、ユーザーは自分に関係あると思ったものにしか、興味を持ってくれないからです。

よくセールス界隈で言われる

  • 「相手が自分事(ジブンゴト)にしてくれないと駄目だよ」
  • 「当事者意識を持たせないと、反応してくれないよ」

というのは同じことですね。相手に「自分にとって必要なものだ」と思ってもらえるかどうかが勝負だということです。そうしないと、すぐに興味を失ってしまう、と。

しかし、どうやらユーザーテストなどを繰り返した結果、それは「興味を持たない」というよりは、もっと残念なことに「認知のレベルで脱落している、つまり「気づていない」かもしれません」。

興味は持ってないけれども、何となく記憶に残っているのでは、というのはあまり期待しないほうが良いかもしれません。(サブリミナルなどの解釈が分かれるものはさておき)

海外のユーザーテストサービスで有名なUserTesing社のブログで、それに関する記事がありました。
今回それを紹介します。元記事はこちらです。

▶Cognitive Psychology for UX: The Principle of Limited Attention | UserTesting Blog :
https://www.usertesting.com/blog/2016/01/21/limited-attention/

ネットに限ったことではない

関係のないものは見えない…そのことはネットだから起きているわけではないようです。人間の元々の性質です。

オンライン(ネット上)はオフラインに比べて情報量が多いため、際立っているだけと考えるべきのようです。

元記事によると

  • ストリーミングサイトには数百ものTVチャンネルや幾千もの映画や番組の選択肢があり、YouTubeには毎分300時間もの新しい動画がアップされている
  • 我々は毎年約100万のマーケティングメッセージを見て(一日3000前後)いる
  • 週に平均13時間をメールに費やしている
  • 24時間あってもすべての情報を処理するのはもちろん無理

という前提があります。

全ての情報を処理する必要はないわけですが、圧倒的な情報がネット上にはある、という点は改めて抑えておくべきかと思います。

目に入らないどころから認知すらされないという例

例えば以下の動画をご覧ください。

この動画は、数十年にわたって人間の注意に関して研究を続けてきた心理学研究者のChristopher ChabrisとDaniel Simonsが行った実験です。

この実験を試してみてください。以下の動画を見て、何回ボールがパスされるか正確に数えてみてください(2分もかかりません)そして、その中でみなさんは、謎のゴリラに気付けるでしょうか

The Monkey Business Illusion

動画が始まっておよそ30秒後に、ゴリラの着ぐるみを着た女性がその場面の中をうろつき、カメラに向かって胸をたたいて去っていきます。

しかし視聴者の半分がゴリラに気づかなかったそうです。こんな格好をしているのに切ない。

これについては、気付いた方も多いかもしれません。

では、これはどうでしょうか

それ以外に

  • 「背景のカーテンの色が変わっている」
  • 「黒いシャツを着たチームが途中で画面から去っている」

私は気づきませんでした。

改めてその観点で意識を持って見なおしてみると、思ったより大きく色も変わっていました。

しかし、気づかない。それが人間の認知の仕方だということです。

一度ゴリラについて教えると、それを見ようとします。そしてそれを探すことに集中するので、他に起こっているすべてのことを見逃しがちになります。研究者はこの現象を「inattentional blindness(非注意性盲目)」と呼びます。

インプレッション数 = クリックされないだけで認識はされている、わけではない

NewImage

ネット寄りの言い方をすると、どれだけインプレッションされていてもクリックされない場合(CTRが極めて低い場合)、それは

  • 興味を持ってもらえていないからクリックされないというケース
  • そもそも認識すらされていない(出してないのと同じ)

という2パターンを考えておかないといけないということです。

そして、この2つをデータから判別するのは、難しいのではという印象です。

ある程度はヒートマップ・マウストラッキングなどで推測はつくかもしれませんが、ある程度の複雑さを持っていると、制度はかなり怪しくなるように思います。

Google広告では viewable CPM(視認範囲のインプレッション)として

「広告が視認可能と見なされるのは、広告の面積の 50% 以上が、ディスプレイ広告では 1 秒以上、動画広告では 2 秒以上画面に表示された場合」

考えるべきステップ

ここから考えると、以下の様なステップを踏むことが大事なのです。

  1. 相手が何をまず探しているのか、知りたいのかを知り
  2. それの答えに繋がるようなコンテンツを用意する
  3. 相手が受け入れやすい見せ方やコンテンツ形態で作りこむ
  4. レールの端に乗ってくれたら、相手がどんな順序で何を知りたいのか、そのマインドフローを把握し、それに合わせてコンテンツを見てもらえるようにする
  5. 最終的に、選んでもらう

また、元記事では以下の様なことが重要と述べています。

追加で考えたい項目

元記事から抜粋します。ユーザーテストで世界の5本の指に入る企業のナレッジからのものなので、一考の価値は十分にあるかと思います。

1.彼らが必要としているものだけを提供する。

「顧客に、彼らが今集中しているタスクを成し遂げるために必要なキーとなる情報のみを提供することで、妨害によるイライラなどを除外し、彼らがその目的を達成する可能性を高める」

  • 顧客が望んでいる結果を成し遂げるために本当に必要なものだけを提供する
  • 我々は顧客が本当に必要としているものを理解していると考えがち
  • しかし、それでもまだ我々の決断に十分なデータと、仮説検証のサイクルを回すことが必要
  • 複数の情報源からのデータを使用すること。自身の経験や知識、定量的な分析、質的な情報源(調査、ヒートマップ、sessions replays、ユーザビリティテスト、リモートユーザビリティテストなど)

2.ざっと読みやすいページにする

「ほとんどの場合、訪問者はページをちらっと見て、いくつかのテキストをざっと読んで、注意をひいた一番最初のリンク、もしくは探しているものと共通していそうなものをクリックします。」

NewImage

訪問者は、ページをざーっとまず見るか頭から少し読んで、その中に有用な内容があるかどうか瞬時に判断するというのは、よく聞くことです(その判断制度はともかく、しかしその性質を受け入れないと前に進みません)

その前提で元記事にはこう書かれています。

  • いくつかのテキストをざっと読んで、注意をひいた一番最初のリンク、もしくは探しているものと共通していそうなものをクリックする
  • したがって、もし人がそのページをざっと読むだけなら、読むためではなく相手がスキャン(ざっと読む)することを前提にデザインする
  • 人が一番良く見ると思われる場所に、一番重要なコンテンツもしくは要素を配置する
  • (コンテンツを制作する際)どこの部分が一番相手に伝えたい内容なのか決める。そしてそれに最初に人を誘導するようにする。伝えたい事は色いろあるはずなので、「視覚的な優先度」を決める
  • それぞれのページで、彼らが何をするように求められているのかということを明確にする
  • 本当に役立っていないものは全て取り除く
  • ざっと読みしやすいようにテキストの書式を整える:たくさんの見出しを使い、段落は短くし、箇条書きを使う。

ということです。

まとめ

認知の問題は、なかなか検証が難しい部分があるのですが「悲観的な想定」をしたほうが良いのかなと改めて思いました。

うちで取り扱っているユーザーテストサービスも含めて、やってみて「想定通り!」という笑顔になるケースはまず見たことがありません。

だんだん暗い雰囲気になるようなものはたくさん見てきました(私も暗い雰囲気になるような結果を何度も…)それは裏返せば、お客さんの頭のなかと売り手の頭のなかのブレを取るという意味でとても素晴らしいものです。

認知心理学系のネタについては、はっきりしないことや、出所不明のものも多いのですが、UserTest.comという海外で5本の指に入るサービスで得られたデータを元にしたノウハウということで、信頼してもいいのではないかと思います。

改めて、自分たちのホームページを見て

  • ターゲットは何を求めてきているのか?
  • それに対して分かりやすくフックになるような見せ方をしているか?
  • 内容は満足行くものか?
  • その次に出てくる悩みに答えるようなコンテンツとそこへのナビゲーションがあるか?
  • 最終的に向こうから手を上げて欲しいと言ってくれるところまでの流れができているか?

こういったチェーンを確認してみる良いきっかけではないかと思います。

ゴリラの動画で「おおっ」っとなった方は、一度自社あるいはお客さまのサイトをチェックしてはいかがでしょうか。

この記事が、コンバージョン改善や回遊率改善の助けになれば幸いです。

参照記事:
Cognitive Psychology for UX: The Principle of Limited Attention | UserTesting Blog :
https://www.usertesting.com/blog/2016/01/21/limited-attention/ 

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