私はもともとDTPデザイナーから入ってWebデザイナーとして業界に入ったので、Webデザインに関しては第一線からは退いたものの、大好きです。
その中で、昨今はモバイルという大きな流れが入ってきたため、特にレイアウトについて試行錯誤・流行り廃りが激しくなっているなと感じます。
マーケティングという側面から見ると、先端のデザインを入れることが何らかの差別化要因になるのは一部の業種に限られます。なので、私自身は、自分の商売の範囲内では、未だに左サイドバー2カラムを基本的にはまず考えます。
とは言え、固執するのは良くありません。試すべきです。
なので、トップ1カラムなど含めて「テストをする前提で」色々なデザインを組み込むことは意義がありますし、結果的にそうなったサイトもたくさんあります。
この時、大事だと思うのはこの「テストをする前提」です。伝統的なデザインを取らない時はスプリットテストした方がいい、と思います。ユーザーテストやヒートマップなどで。
先入観を取り除き、現実を知るためにテストを前提にする
世間で話題になっているものが最良というわけではないのですが、どうしてもその時その時に話題になっているものを取り入れようとしがちです。それは結果として正しいこともありますし、時期尚早なこともありますし、ダメなこともあります。
ただ、情報やメッセージはできるだけ素直に読み手の頭の中に入っていき、理解してもらうことが重要です。なので、デザインはむしろ意識されないくらいがちょうどいいもの。デザインが主ではなくビジネス上の目的達成が主です。
そんな流れで1つ実例を載せた記事をご紹介します。
NeuroMarketingから、ホリゾンタルvsバーティカルレイアウトという記事です。
ClicktaleのWebサイコロジストLiraz Margalit氏の記事です。
※元記事もぜひご覧ください。
▶Is Your New Website Layout Killing Your Engagement? – Neuromarketing
http://www.neurosciencemarketing.com/blog/articles/horizontal-website-layouts.htm
あるサイトで、コンテンツ部分を従来の縦型レイアウトから横型レイアウトに変えた所、むしろ平均ページビューや滞在時間が悪化してしまったという事例です。
スクロールマップでのテストの結果34%もスクロールしてくれる人の割合が減ってしまいました。
結論から言うと、ホリゾンタル(横方向)に変えたことが良くないのではなく、下にスクロールしようと思わせられなくなってしまったことが、敗因だったようです。
変更前の縦型コンテンツレイアウト
変更後の横型コンテンツレイアウト
これを、AboveTheHold(≒ファーストビュー)の観点で比較すると以下のようになります。
ファーストビューについては来訪者の中で最も多かった値を使っているようです。
変化を見ると、変更前は下に見切れている部分がありますが、変更後は綺麗に1画面にBOXが収まっています。
これによって、アクセス者の「下にスクロールしよう」という思いが減ってしまい、それがエンゲージメント(平均ページビューと滞在時間)に影響したのではないかと述べられています。
このサイトを実際に見ることは出来ないのですが、たくさんの記事が投稿されているメディアサイトのようです。こういったサイトでは、できるだけ多くのタイトルなどを見せて、相手のフックにたくさんひっかけられるかどうかが、大きなポイントになります。
しかし変更後は、これ以上下にスクロールできるイメージがなく、ファーストビューに収まっている範囲で記事を探して、興味がなくて去ってしまった、もしかしたらスクロールダウンしたら興味をもつ記事があったかもしれないのに…、ということです。
縦横が問題なのではない、原因を深掘りする
これに対して元記事では単純にレイアウトを以前に戻すという解決策ではなく、以下のものを提案しています。
- 横線をできるだけ避ける、そこで終わりという印象を与えるから。
- 下にスクロールできることを示すアローアイコンを一番下に出す
- 縦長の要素を何か1つ加える
これは重要です。
つまり、単純にレイアウトそのものを否定するのではなく、その奥にある問題を探り、その上でより良い案に消化させるということだからです。
実際、横に並べたほうが一覧性が上がることは見た目として事実です。しかしこのケースでは横型レイアウトが問題なのではなく、下にスクロールしようと思わせられなくなったことが問題。
このように、テストを行うことで問題点を具体的に発見し、より改善していくというPDCAサイクルがデザインでも必要なのだなと改めて感じました。
目新しいデザインを入れるのに、そもそもユーザーテストやマウストラッキングなどの分析をすることを前提としない、そんなことあるの?と思われるかもしれませんが、少なくとも私がコンサルに入っていた案件では、何度もありました。
別に新しい物を否定しているわけではありません。
違ったものを入れるならテストすることを前提にした方がいいのではないか、という趣旨です。
また、個人ブログなどでもレイアウト変更を行うことはあると思います。その際は元に戻せるようにして、ちょこちょこ変えて数字の変化を見るのも良いのです。
新たな発見や自分だけのノウハウが手に入るのではないか、と思います。
この記事が、お役に立てば幸いです。
中小企業・小規模事業者の方々に向けて、ウェブの活用やホームページの戦略などについてWebコンサルティング、施策代行実施などを行っている、株式会社ラウンドナップ代表取締役の中山陽平です。中小企業のWeb活用をサポートし、そこからの反響獲得を実現させています。
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